第52章 今、誰の隣に居ますか?
「気になります?彼女のこと」
「え、いやっそんなんじゃ…えっと、ただ恋人だったら、なんだか悪いことをしたなっていうか…いっ」
「こらこら、動いちゃダメっスよ」
勢い余って起き上がった私を、ゆっくりとまた寝かせてくれた
「気にしなくていいっスよ。彼女とはたまに一緒に寝てるだけなんで」
「…はい」
やっぱり寝てるんだ、あの人と
そうだよね
こんな夜に部屋を訪ねてくるってそういうこと
気は強いけど、美人だったし…
「しかしまぁ大分無茶したみたいっスね」
この子は、なんでこんなに辛そうな表情をするんだろうか…
部屋に来た彼女への申し訳なさで?
違う気がする
それともだらしないボクの女性関係に引いているとか?
やはり初対面の相手にする話ではなかった
「…ゃだ」
「え?」
思わず出た小さな声に、自分でも驚いた
喜助さんの女性関係の話を聞くのが、こんなにも辛いなんて
別に初めてでもないのに…
「あ、ご、ごめんなさい!なんでもないです!」
ハッキリと聞こえた
やだ
と
何が?ボクが女の人と寝てることが?
どうして彼女が嫌がるんスか?
だって今日初めて会って…
嫌、でも彼女はボクの名前を知っていたし、それ以外だって知っているような、そんな口振りで
「アナタはどうして、ボクのことを知っているんスか?」
彼女はなんか、凄く悩んでいるような、話していいのか迷っているような、そんな表情をしていた
「今から話すこと、信じてくれますか?」
そして彼女は此処に来た経緯を話し始めた