第51章 The DiamondDust Rebellion
「最後に、お前と決着をつけられて。…生きてりゃ、誰にだって納得いかねぇことあるだろ。だけど、それに従うかどうかは、自分が決めることだ」
冬獅郎は、手の中の王印を見つめた
「生き返ったあいつは、自分で決めて此処へ来た。人に決められた勝負じゃなく、自分で決着をつけるためにな」
涼しい風が、頬をかすめる
「だから、それで良かったんじゃねぇか。おかげでこっちは滅茶苦茶だったけどよ」
冬獅郎はほんの少し微笑んだ
「戻ろうぜ、冬獅郎…まだ、やることがある」
打ってかわって険しい表情になった一護をみて、冬獅郎も再び眉をしかめた
「あぁ」
…─
「草冠様…」
双極の丘から草冠の最期を見ていた琴乃は、思わずその名前を口にしていた
虚圏に飛ばされ、記憶をなくした私と一緒に居てくれた
洗脳されて、草冠様の計画を手伝っていたけど、記憶が戻った今も、どうしても憎み切れなかった
「なんやあの男に惚れてるんちゃうやろな…」
「なっ、違…!ていうか背中、大丈夫?」
琴乃は真子が自分を庇って、背中に火傷を負ったことを思い出していた
「平気や。喜助のおかげでな」
そこまで言って平子は、双極の真ん中で膝をつく喜助に気づいた
「喜助…」
「隊長…」
地面を見つめる喜助の目は細く、紫苑の痕跡を探すように手をかざしていた
「浦原さん!紫苑は…」
「浦原…」
そこへ一護と冬獅郎が駆けつける
「…お疲れ様でした。黒崎サン、日番谷サン」
背を向けたままゆっくりと立ち上がった喜助は、振り向きもせず2人に声をかけた
そして冬獅郎は、草冠の言葉を喜助に伝えた
「…そっスか」
静かに返事をした喜助、その握られた拳は震えていた
「その王印、ちょっと貸してもらえませんかね」
そこで初めて振り返った喜助
その瞳は静かな怒りに満ちていた
「あ、あぁ」
冬獅郎が王印を手渡そうとしたとき
「成らん」
「総隊長!」
隠密機動の一人が、瞬きと同じ速度で冬獅郎から王印を奪い、保管箱に収納する