第51章  The DiamondDust Rebellion

｢大丈夫ですよ、勇音。あの方たちが向かっていますから｣

｢あの方たちって…｣


卯ノ花は勇音に笑顔を見せた






…─






｢黒崎たちを行かせて良かったのか？随分と余裕だな｣


余裕なんか無かった

私の瞬歩も白打も、夜一さんからお墨付きをもらってはいるけれど、それは隠密機動総司令官…それも現役の足元にも及ばない

隙あらば私と対峙していても、琴乃を狙ってくる


｢そろそろ終わりにするか｣


砕蜂はまだ始解していない斬魄刀を改めて握りしめ、紫苑をまっすぐに見つめた


｢ねぇ、どうして私を助けるの？あなたは私を、殺すんじゃないの？｣


紫苑の後ろにいた琴乃が話しかけてくる

それに紫苑は振り向かずに答えた


｢だってあなたは…家族だから｣

｢えっ？｣


紫苑と砕蜂は同時に地面を蹴った

霊圧と霊圧がぶつかる


紫苑の後ろに回り込んだ砕蜂は、紫苑の背中に斬魄刀を突き立てた


｢紫苑！｣


愛しい人の声が、聞こえた気がした



手応えがない…

砕蜂は自分の手の感覚に違和感を感じた


瞬間

強い力で自分の体が移動するのを感じる


｢夜一様！｣


物凄いスピードで紫苑から離れていく

砕蜂は夜一に抱えられていた


｢仲間内で殺り合うてる場合か？お主の仕事はあれをなんとかすることじゃ｣


夜一の視線の先には高く聳え立つ塔


｢しかし！東雲琴乃は…！｣

｢それは紫苑に任せておけば良い｣





…─





｢あ…れ、砕蜂さんは…｣


覚悟を決めた紫苑は、一向にやってこない痛みを不思議に思い顔を上げると、そこに砕蜂は居なかった


｢紫苑！大丈夫？｣

｢喜助さん！｣


やっぱりこの顔を見ると凄く安心する

緊張が解けて、心が和らいでいくのを感じた


｢砕蜂サンは夜一サンが連れていきました｣

｢全然わからなかった…｣


その時喜助は大きなため息をついた


｢平子サンから、砕蜂サンと紫苑が殺り合ってるって聞いて、もう冷や汗かきましたよ｣

｢紫苑、闘う相手くらいちゃんと選びィ｣

｢すみません…｣