第51章 The DiamondDust Rebellion
刃を交えながら、砕蜂は口角をニヤリと上げた
恐ろしい人だ…
任務のためなら例え仲間でも斬り捨てる
隠密機動の鑑のような人だ
今の砕蜂さんには、情なんてものは、一切通じないかもしれない
「平子!紫苑、大丈夫なのかよ!…平子?」
いつの間にか平子は一護の視界から消えていた
あんな砕蜂チャン止められんの、夜一しか居らんで…っ
夜一と喜助の霊圧を感じた平子は二人の元に急いだ
「黒崎くん、ルキアちゃん…私は大丈夫だから行って」
「しかしっ!」
「紫苑…」
砕蜂の攻撃を受け止めながら、紫苑は背中で二人に語りかける
「わかった…行くぜ、ルキア!」
「一護!」
それに冬獅郎も続く
「隊長!」
乱菊も後を追う
「散れ千本桜」
「吼えろ!蛇尾丸」
蛇尾丸は草冠に捕まれ、恋次は地面に叩きつけられる
「邪魔だぁ!!」
草冠の叫びで足場が崩れる
と同時に草冠を中心に円形の巨大な闇が辺りを包み込む
「これは…一体どうなっているんですか?」
勇音は戸惑いの声を上げる
「王印が力を全て解放したんでしょうか」
ネムがマユリに問いかける
「違うね。これは王印の暴走だよ」
「なんだって」
浮竹も驚きを隠せない
「ほうら…どんどん霊圧が強くなって広がっていくよ。このままだと瀞霊廷を覆い尽くし、全てを滅却させかねない」
「滅却…確かに凄い霊圧だけど、そんなことが…」
「王印とはその解放により、限定した場所において時間空間次元…全ての事象を操ることができる神器なのだヨ」
京楽はマユリの言葉に耳を傾ける
「すなわち、その限られた場所においては神と同等の力を得ることになる。消去と再生など、容易いことさ」
まわりの者たちは驚き、顔を上げる
「だが、卍解を会得していない草冠の剣では、その制御は無理…つまり」
「最も厄介な状況じゃな」
山本が険しい顔で闇の空間を見つめる
「ふぅ…全く、こんな時に仲間割れとは…紫苑は一体何をしているんだか。私の命令を大人しく聞いておけば良いものを」
「紫苑さん、大丈夫でしょうか…」
砕蜂と対峙しているのが目に入っていた勇音は、心配で落ち着かなかった