第51章  The DiamondDust Rebellion

恐らくあの時の白伏で未だ眠ったままだったのだろう

体を揺らすと琴乃は眉をしかめてうっすらと目を開けた


｢紫苑…………！｣


私の名前を呼んだ琴乃の表情が、思い出したかのように一瞬で険しくなった


｢許さないっ！真子を、真子を返してよっ…！｣


紫苑の腕を掴み訴える琴乃の姿に胸が締め付けられる

心が折れそうになるのを必死で持ち直す


｢琴乃、俺はお前のモンやで…100年前からずっと｣

｢嘘っ！……嘘だ……真子は、真子が好きなのは…｣

｢琴乃サン、今記憶を戻してあげます｣


喜助は紫苑を見て頷いた

紫苑は首もとのネックレスを琴乃に近づけた


｢させると思うのか｣


後ろを振り返ったと同時に、紫苑たちと琴乃の間に氷の刃が振り下ろされる


｢草冠様！｣

｢草冠！｣


さっきまで向こうに居たのに…！

黒崎くんは…


｢随分と客が多い｣


草冠は琴乃に近づいた


｢洗脳が弱っているな｣


草冠は琴乃の頭に手をかざした


｢やめろ！琴乃に触んなや！｣


琴乃に近づこうとした真子に向かって、振るっていない氷輪丸から氷の斬撃が放たれる

琴乃の目は、最初に会ったときと同じように虚ろになっていた


｢草冠様の邪魔をする者は、排除する｣

｢やめて！琴乃！｣


その時ゆっくりとした足音に全員が振り返った


｢お前達…！｣

｢日番谷隊長…！｣


草冠は冬獅郎を見ると、嬉しそうにニヤッと笑った


｢やっとみつけてくれたね。君に探してほしかったんだよ｣

｢草冠！｣


草冠は氷輪丸に手を置いた


｢そのために氷輪丸で、君の体に傷を残したんだよ｣


冬獅郎は僅かに腹の傷を触った


｢俺が生きていることが信じられないか？いいじゃないか｣


草冠の意識は日番谷隊長に向いている

喜助は自身と紫苑、平子に静かに曲光をかけ、その姿を見えにくくした


｢なぁ日番谷…俺たちは随分と遠回りをしたと思わないか？｣

｢遠回り？｣


紫苑はゆっくりと琴乃の背後にまわった