第51章 The DiamondDust Rebellion
喜助は立ち上がり、紫苑の肩に手を置こうとした
その時
「……見つけた!」
紫苑の描いた円の中に光りがひとつ
「さすがっスね……」
「私、行くね!」
少し休んだらどうか、という言葉をぐっと飲み込んだ
きっと今の紫苑には何を言っても無駄だろう
「ボクも行きます」
「気を付けるのじゃぞ、紫苑」
紫苑は夜一に頷き、喜助と共に琴乃の霊圧を感じた場所へ向かった
「喜助さん、平子隊長にも連絡してもらっていい?」
「わかりました」
町の上空を瞬歩で移動しながら、喜助が伝令神機を取り出し操作を始めると、ふと視線を明後日のほうへと向けた
「草冠サンと…黒崎サンたちの霊圧っスね。向こうで派手にやってるみたいっス」
「草冠が離れたから、琴乃の霊圧が分かったのかな。結界とか、なんかそういう…」
草冠と琴乃は離れた場所にいる
あの女二人も恐らく草冠と一緒だ
琴乃に近づくなら今しかない
「琴乃サンに会ったらどうするんスか…?」
まさかあの人の言うこと聞くつもりじゃないっスよね…
「隊長命令でもこればっかりは、聞けない…かな」
喜助が少しホッとしていると紫苑は少しうつむきながら、首もとのネックレスに目線を落とした
「琴乃が記憶を思い出したとき、2回とも多分、これに触れたの」
シャラリ、とネックレスを指に引っかけ、喜助に見せるようにした
「それ…」
かつて喜助が紫苑に贈ったもの
紫苑の卍解時の霊圧を抑える制御装置の役割も兼ねている
紫苑の誕生花で作ったネックレスだ
それが一体どうして…
「どうして記憶が戻るのかはよくわからないけど」
「それで、琴乃サンの記憶を戻すんですね」
「記憶がちゃんと戻れば、きっと琴乃は…」
その時横からひとつの霊圧が近づいてきた
「平子サン、早かったっスね」
「ちょうどこの辺プラプラしとったんや」
建物の地下、薄暗いコンクリートの空間に降り立った
そこに琴乃は居た
「琴乃!琴乃!」
「……っ……」