第51章 The DiamondDust Rebellion
なんとか琴乃の動きを封じられれば…
「殺意がこもってないのよ。あなたの刃には」
殺意なんて、こめられるわけないじゃない…
琴乃が地面に手をかざす
「破道の五十七 大地天踊」
大きな音をたてて周囲の岩や地面が浮き上がり、紫苑目掛けて向かってくる
助けようとする喜助の行く手を草冠が阻む
紫苑は飛んでくる岩を避けようともせずに、手を合わせた
「縛道の七十五 五柱鉄貫」
紫苑が放った五本の柱は琴乃を囲み、動きを封じることに成功した
「縛道の三十九 円閘扇」
紫苑は飛んでくる岩に備えて、急いで盾を作った
充分な力がこめられなかったそれは、少しずつ受け止めていた岩を受け入れはじめた
「紫苑!」
喜助の悲痛な叫びが爆風に消える
土煙が晴れていく…
「喜助さんありがと…」
「平子サンが来てくれたおかげっス」
さっきまで喜助がいたところには、平子が立っていて草冠と刀を交わらせていた
そして喜助は紫苑の前に立ち、岩を砕いていた
「貸しやからな、喜助」
ふっと笑った喜助は、振り返って紫苑の乱れた髪をなおす
「ごめんね…詰めが甘くて…」
100年ぶりにまともに刀を握った
全くと言っていい程感覚は戻っていない
「その分ボクがフォローしますから…それより」
喜助は大人しくなった琴乃に目線を向けた
紫苑は喜助に頷くと、琴乃の元へ向かった
「琴乃っ」
紫苑は琴乃を捕らえていた五柱鉄貫を解いた
「なに解いてんや、あほっ」
「馬鹿なことを」
それを解いても尚、五柱鉄貫と共に放っていた九曜縛が、琴乃の体を封じている
「殺しなさいよ…」
「琴乃っ」
「私はあなたに負けた…情けなんかかけないで」
紫苑は琴乃を抱き締めていた
「紫苑!気ィつけや!」
またこないだみたいになるんちゃうか!?
くそっ!
インとヤンを斬撃で吹き飛ばした平子は、紫苑と琴乃の元へ向かう