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With me

第7章 もっと早く助けてあげたかった



紫苑は咄嗟に喜助から離れる


"あなたが邪魔なの"


拳にグッと力をいれて、いつも通り振る舞う

沙也加が紫苑の横を通りすぎるとき、紫苑にしか聞こえない声でささやいた


"まだここにいるの?"


そう言った沙也加さんの顔は、冷たく笑っていた

紫苑は背中に汗が流れるのを感じる

その日の午後、隊長が隊首室に入ったのを見計らって、私は隊長を尋ねた


「失礼します」


喜助の胸が、ドクンと鳴る


「どうしました?紫苑サン」


紫苑は唇を強く噛む

言わなきゃ、言わなきゃ…

琴乃が…


「あの、単刀直入に言います…」


紫苑サン…


「異動させてほしいんです…五番隊に」


隊長の目を見れない…

一体どんな目で私を見ているのだろう…


「理由は?」

「それは…平子隊長からの…お誘いで…っ」


苦し紛れの理由なんか通らないことはわかっていた


「…それはちょっと聞けないお願いっスねぇ」

「でもっ…」

「紫苑サンを十二番隊に入れたのはボクっス。ボクが責任持ってあなたを育てる。そう決めたんス」

「お願いします!五番隊に…いかせてください」


紫苑の体は震えていた

目には今にも溢れ出しそうな涙をためて…


「そろそろボクも目を瞑ってられないっス。紫苑サン、あなた何に悩んでるんスか?」


"出ていかないなら琴乃ちゃんがどうなってもいいわね"


「もういいです…」

「え?」

「失礼しました!」

「紫苑サン!」


浦原隊長の制止も聞かずに隊首室を飛び出した


「ちょお待て!どこ行くんや紫苑!」

「紫苑!」


ひよ里さんと琴乃の声が聞こえる

でももう、私、どうしたらいいかわからない…

その足で隊の敷地内の外れまで来ていた


「私、どうすればいいの…」


返事の来ることのない問いは空に消える


「そのまま消えちゃえば?」


パッと後ろを振り返るとあの3人と…沙也加さん


「消える方法なんてたくさんあるわよ?」

「もぅ…やめ、っ」


沙也加さんは私の斬魄刀に手をかける


その様子を遠くから見ていたのはひよ里と琴乃

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