第7章 もっと早く助けてあげたかった
「まだなんも言うてへんやろ」
「す、すみません」
「紫苑がウチに来たい言うてきたでェ」
「はい?」
紫苑サンが?五番隊にいきたい?
「何の冗談スか…それ」
「やっぱ聞いてへんかったんやな。喜助、お前紫苑になんかしたんか?」
「するわけないじゃないスか…でも最近紫苑サン、様子おかしかったんスよね」
そのことと関係があるんスかね…
「まァ、異動するには喜助の許可が必要やて言うておいたから、明日にでもお前んとこ行くやろ」
紫苑サンが、五番隊に…
「言うとくけどなぁ、喜助」
「何スか?」
「ちゃんと話聞いたれよ。エライ思い詰めてたみたいやから…絶対怒ったりしたらアカン。紫苑のこと泣かしたら、ホンマにウチに貰うで」
そう言って平子は研究室を出ていった
「わかってますよ…」
紫苑サン…どうして…
やっぱりボクのこと、嫌いになったんスか?
…─
次の日、喜助はソワソワしながら紫苑を待った
「喜助ェ、紫苑今日休ませてくれって」
「え?紫苑サン具合でも悪いんスか?」
「ウチ急いどったから詳しくは聞いとらんけど…」
「ちょっと様子見てきます…」
「最近様子変やったし、何か悩んどるんちゃうんか?心配やけど、たまには1人にしたったれ…」
ひよ里に制されて、喜助は肩を落とした
次の日、紫苑サンは具合が悪いどころか髪が短くなっていた
腰まであった長い漆黒の髪は、肩の少し上で切り揃えられて…
「紫苑サン、その髪…」
「似合います?琴乃と同じにしてみようと思って」
とびきりの笑顔で髪を触る彼女の目が、本当は笑っていないことに気づいてるのは、一体何人いるだろう…
「紫苑サンはなんでも、似合いますよ」
「っ…ありがとうございます!」
本当は誉めてほしくなんかなかった…
長い髪が気に入ってた…
だって、隊長が"綺麗" "可愛い"って誉めてくれた髪だったから…
「紫苑サン、少し痩せましたね」
喜助は紫苑の頬に手を添える
「あれ、紫苑ちゃん髪短くしたのね!」
リン─