第7章 もっと早く助けてあげたかった
「なんで…沙也加さんが!」
「琴乃、喜助呼んできぃ!早く!」
琴乃は隊舎に向かった
バチバチバチッ─
沙也加の手は紫苑の斬魄刀に弾かれた
「っ…何よその刀っ」
他の3人も次々に刀に触れようとするが、沙也加と同じく斬魄刀に弾かれた
「ムカつくムカつくムカつくっ!!」
沙也加は自分の刀を抜き、思い切り振り上げる
「沙也加さん!さすがにそれは!」
「うるさい!」
沙也加の刀が、振り下ろされる
ひよ里は走り出していた
紫苑は反射的に目をつぶった
あれ…?痛く…ない
ふわっとした何かに包まれる
そっと目を開ける
そこには…
「うらはら…たいちょ…」
紫苑を包むように庇い、左手で沙也加の刀をとめている喜助がいた
「何してるんスか?沙也加サン…」
喜助は沙也加のほうを向きもせず冷たく言い放つ
「沙也加!何しとるんや!」
「沙也加さん!」
喜助に先を越されたひよ里と、喜助を呼んできた琴乃もその場に駆けつけた
「これはっ、その…斬術の稽古を…」
「沙也加サン…ボクはあなたを許さない」
「違っ、浦原隊長!」
「あなたの顔を、見たくもない」
その言葉を聞いた沙也加たちはその場を立ち去った
「紫苑サン…大丈夫ですか?」
「わっ…私っ…ごめっ…なさっ」
目から大粒の涙をこぼす紫苑を、喜助は強く抱き締める
「何も喋らなくていい…辛かったスね…苦しかったスね…もっと早く助けてあげられなくて、ごめんね…」
喜助の胸で紫苑は声を上げて泣いた
ひよ里と琴乃はその様子を見つめていた
紫苑は喜助の腕の中で眠るように意識を失った