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With me

第51章  The DiamondDust Rebellion



重苦しい空気が部屋を包む


想像以上に切ない紫苑と琴乃の関係に、皆言葉を無くした


その空気に耐えきれなくなった一護が声をあげた


「……っ平子は、どんな関係なんだ?その琴乃ってのと」

「平子サンと琴乃サンは…」


その時奥の部屋から自分を呼ぶ声が聞こえた


「喜助ェー!!」


平子の声と同時に襖が開き、テッサイが焦った顔を見せた


「店長、紫苑殿が目を覚まされました…」

「本当ですか?すぐ行きます」


テッサイの顔は安堵の表情ではなかった

喜助の心がざわつく


全員がそれに続く


「紫苑!」


喜助が中に入ると、紫苑は上半身を起こし、その背中を平子が擦っていた


「平子…居たのか」

「おー、一護か。お前、無事やったんやな」

「あ、あぁ…まぁ」


平子が居ることを知らなかった一護はその姿に驚く


「喜助さ……ん……っ、琴乃が……琴乃が……」

「紫苑、大丈夫」


平子と役目を代わるように、紫苑の背中を擦る


「琴乃が…っ、また、殺すのって…っ」


涙をボロボロと流して、すがるように喜助に抱きつく


「大丈夫……大丈夫だから」


震えてる体を抱き締める


「紫苑殿…」

「西園寺さん…」


ルキアと織姫も、心配そうに見つめる

彼女との関係は短いけれど、こんなに弱った姿を見たのは初めてだった

そして、そんな彼女を抱き締める彼の、こんなに切なく優しい顔を見たのも、初めてだった


「大丈夫……琴乃サンはきっと、記憶が混乱していただけっスよ」

「琴乃は…私のこと、憎んでるっ…」

「そないなことないで…」

「そっスよ。琴乃サンは最期に、紫苑にありがとうって、そう言ったんスよ」



"ありがとう……紫苑、だい……す……き"



紫苑の頭の中にあの日の光景が甦る

最期に笑った琴乃

最期にありがとうと言った

最期にだいすきと言ってくれた…


「大丈夫……琴乃サンを、信じてあげよう」

「……うん……っ…」


紫苑が腹部を押さえて苦しみだした

傷が痛むのだろう

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