第51章 The DiamondDust Rebellion
「そりゃあモチロン…手取り足取りアタシが全てを教え込みましたから」
今度は打って変わってニンマリと笑う喜助に、一護は寒気を感じる
「何を言うておる。紫苑の稽古の半分は儂じゃろうに」
「何か言いました?」
「それに紫苑の瞬歩はほとんど儂が…!」
喜助と夜一の間に小さな火花が飛ぶ
「紫苑殿に、東雲琴乃について聞きたかったのだが…」
ルキアの言葉に喜助は一瞬で表情を固くした
「……お話しましょうか?アタシでよければ」
「本当か、浦原!」
喜助は湯飲みにお茶を入れて、一口含んだ
「紫苑は元々貴族の生まれでして、西園寺家の一人娘。琴乃サンはその西園寺家の、使用人だったんスよ」
喜助は目を伏せて、思い出すように話をした
「2人は親友のように、家族のように育ち、共に霊術院に通い、死神となってアタシの居た十二番隊に入りました」
と、いうよりアタシが無理矢理入れたんスけどね
独り言のような呟き
僅かに綻ぶ喜助の表情
きっとその頃から浦原喜助は西園寺紫苑に好意を寄せていたんだろう
「そして琴乃サンが四席、紫苑が五席になってすぐ、琴乃サンは亡くなりました…」
「どうして、亡くなってしまったんですか?」
皆が聞きづらそうにしているなか、石田が口を開いた
「琴乃サンは身体を虚に乗っ取られて、融合が始まっていた。虚に操られ、紫苑を傷つけた…」
ルキアの頭には、過去、自隊の副隊長だった海燕の姿が浮かんでいた
「紫苑は琴乃サンを虚から引き剥がす方法を考えましたが叶わず、琴乃サンは紫苑に自分を殺して、と懇願しました。…結果、紫苑は琴乃サンを…斬魄刀で貫きました」
ルキアはハッとした
これが、似ても似つかない自分と紫苑殿に感じた、ひとつだけ似ていると感じた部分
紫苑殿も、自分のような経験をしたと思うと胸が苦しくなる
「紫苑殿……辛かったでしょう……っ」
「そんなことがあったんだね……」