第51章 The DiamondDust Rebellion
「南の心臓……北の瞳……」
地面に円を描いていく
「西の指先……東の踵……」
描いた円が次第に光を持ち始める
「風持ちて集い……雨払いて散れ……」
ひときわ光を放つ円に向かって、言い放った
「縛道の五十一 摑趾追雀!」
…─
早朝─
紫苑が浦原商店の庭先で摑趾追雀を試みて居た頃
冬獅郎は一護の部屋に隊首羽織を畳み置き、クロサキ医院に頭を下げて医院を後にしていた
冬獅郎は行く道に立つ人物に気付き、足を止めた
「コソコソすんなよ。出ていく時は堂々と出ていきゃいいじゃねぇかよ。なんでやましいことしてるみたいな真似すんだよ」
冬獅郎の前には、死神化した一護が立っていた
「世話になった。礼を言う」
「お前、なんで一人で行こうとしてんだよ。何をそんなに思い詰めてるんだ」
「何が言いたい」
「草冠ってのと関係あんのか」
その名前を聞いた途端、冬獅郎の表情が変わった
「誰だ?」
一護は冬獅郎を指差し、そのまま続けた
「お前を襲い、王印を奪ったやつが草冠っていうのか」
冬獅郎は目を伏せて静かに答えた
「殺された男の名前だ」
「殺された?誰に…」
冬獅郎は一護に構わず、隣を通り過ぎようとする
「冬獅郎!」
一護が声を荒げた瞬間、冬獅郎が腰から斬魄刀を抜き、一護に刀を振るった
「何のつもりだよ!」
「邪魔をするな」
刀の切っ先を一護に向ける冬獅郎
「うるせぇ!目の前でガチャガチャやられて、ほっとくわけにいくかよ」
一護は冬獅郎の腹部から流れ出る赤い鮮血に気付き、軽くため息をついた
そして、指を二本立てて続けた
「隠密機動に連絡するか、家に戻るか、どっちか選べ」
少しの沈黙の後、上空の異変に冬獅郎が気づいた
その直後、赤い炎が螺旋を描きながら冬獅郎と一護の間に落ちてきた
「誰だ!?」
一護が煙りの中から視界を確保し、上空を見上げると赤い髪と青い髪をした女、そしてその二人の後ろに仮面をつけた女が立っていた
「日番谷冬獅郎をこちらに渡してもらおう」
青い髪の女が言う
「なんだって?」
なんでこいつらは冬獅郎を狙う?
冬獅郎の仲間?
いや、そんなふうには見えない…
一体何が目的だ…