第51章 The DiamondDust Rebellion
右手でボクの袖を掴み、左手で腹部を押さえている
額からは僅かに汗が滲み出ている
「紫苑、無理をするでない。向こうで休んでおれ」
夜一が顎で喜助に合図をすると、喜助は紫苑を連れてその場を少し離れた
「大丈夫?」
紫苑を座らせて、隣に自身も座る
代わりに腹部をさすり、頭を引き寄せると幾らか落ち着いてきた気がする
「琴乃は…生きているの…?」
そんなわけない
だってあの時、確かに
私が殺したのに…
「……っ……」
痛みに耐え、ボクの腕を力の限り掴む紫苑
その体を優しく抱き締めるしか、できなかった
紫苑はボクの腕の中で、意識を失うように眠りについた
無理もない
話を終えたボクと夜一サン、それから紫苑は砕蜂サンと別れ、結界の外に出た
結界を出たところに居たのは
「平子サン?」
「おォ、今丁度結界破ろうとしてたとこや」
斬魄刀を構えた平子だった
「ということは、気付いたんスね…」
「…その様子やと当たりのようやな」
「平子サン…」
話し始めようとした喜助を夜一が制する
「紫苑が冷えるぞ。場所を変えよう」
喜助の背中に乗っている紫苑を見ながら夜一は、喜助と平子を見た
「せやな…」
黒崎一護がここを見つけるのは、このほんの少し後だった
…─
一番隊隊舎─
各隊の隊長たちが顔を揃える
一歩前に出た砕蜂からの報告を聞いた総隊長は、低い声で返事をした
「そうか…」
「はい。周辺はくまなく捜索いたしましたが、王印の痕跡は発見できず、やはり襲撃者が持ち去ったものと思われます」
砕蜂の報告にいくらか肩を落とす隊長たち
「襲撃者のうち一人は大方の予想がついています」
その言葉に場がざわつく
「誰じゃ」
「100年前、護廷十三隊十二番隊第四席であった東雲琴乃と思われます」
「ほゥ」
マユリは面白い、とばかりに目を細める
「また懐かしい名前だな」
「琴乃ちゃんが?まさか、亡くなったはずじゃ…」