第51章 The DiamondDust Rebellion
空を駆け巡る大きな雲の塊
その中はまるで別世界が広がっていた
まるで異空間のようで、中では音楽が鳴り、舞いを踊る者たちがいる
その遥か下方
隊員たちに指示をだす乱菊がいた
「首尾はどう?」
副隊長の松本乱菊が隊員に確認する
十番隊はこの日、王族の宝である"王印"を遷移する護衛を任されていた
緊張感が漂う
誰もが何も起こらず、無事に任務が終了することを祈っていた
乱菊は警備に問題がないことを確認すると、上空にいる冬獅郎の元へ向かった
「各部署異常ありません」
乱菊は御輿を見ると、地上で見た時よりも更にずっしりと体にのし掛かってくる重さに身震いした
「間近で見ると更に荘厳ですね」
「権威には、飾りが必要だからな」
「また隊長まで…そんなこといったら怒られますよ」
その時僅かに敵の気配を冬獅郎が感じた
「なに!?」
次の瞬間、神輿に雷のような攻撃が襲い掛かる
「松本!」
「はっ」
御輿は傾き、燃え上がり、電撃が周りを襲う
「副隊長!」
隊員たちが乱菊に指示を仰ぐ
「包囲!!」
乱菊が隊員たちに指示を出す
しかし電撃のもとへ向かった隊員たちは、その攻撃に成す術がなかった
煙の中から白い細長い布のようなものが現れ、咄嗟に抜いた乱菊の斬魄刀を絡めとる
その先に居たのは青い髪をした女だった
その白い布を伝って青い髪の女は電撃を放ってくる
「唸れ!灰猫」
始解して斬魄刀を灰へと変化させる
乱菊と青い髪の女が対峙する
その時女の遥か後方に一人の人影が映ったことに、乱菊は一瞬目を奪われた
「よそ見してていいのか」
ひと際大きな電撃を放った女の攻撃を、紙一重で後方に飛び避けたと同時に、入れ替わるように斬りかかってきたのは
「…死覇装!?」
先程後方に見えた人影だった
「あなた、死神なの?」
顔は仮面で隠れて見えなかった
だが、たなびく外套の下に見えたのは、確かに自分達が普段から見慣れている死神のソレだった