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With me

第51章  The DiamondDust Rebellion



「気分はどうですか?」

「うん…」


それだけ答えて紫苑は目を伏せた


「喜助さん」

「はい」

「良い夢が見れる機械でも作ってよ」

「…いいっスけど」

「へ?」


冗談半分で言ったのに


「作れるの?」

「まぁ考えたことなかったっスけど、多分」

「…さすが」


そうか、作れば良かったのか…

なんであの時、思い付かなかったのだろう

まぁでも…


「それよりもっと簡単な方法がありますよ」


それが紫苑にも効くかわからない

けど、ボクはそれでかなり救われた

やってみる価値は充分にある


「これを枕の下にいれるの?」


ボクは紫苑の記憶をデータ化して印刷した


「そっス。その写真にまつわる夢が見れるみたいっスよ」


喜助さんがこんな非科学的なことを信じてるなんて不思議だった


「もしかして実証済み?」

「さぁ、なんのことでしょう?」

「喜助さん、もしかして私の写真入れてたりして」


驚いた

喜助さんが目を丸くして、珍しく頬を赤く染めるもんだから…


「……っ……今日は良い夢見れるといいっスねっ」


照れるように扇子で顔を覆って部屋を後にした喜助を見て、紫苑はクスッと笑った


琴乃との楽しかった日々を写真にした



子供の頃、屋敷の庭で走り回ったこと

一緒に霊術院に合格したこと

私を守ってくれたこと

病室に桜を届けてくれたこと


枕の下に写真を入れて、後悔した

夢の中に居る間は凄く幸せだった

楽しかった

なのに、夢から覚めると現実が襲ってくる

過去に戻りたい

また、前みたいに一緒に生きたい

会いたい…


「会いたいよっ……琴乃っ……!」


写真を握りしめて泣く度に、喜助さんは私を優しく抱き締めてくれていた




…─




「こんにちはー!」

「おや、井上サンじゃないスか」


明るい声で店内に向かって声をかける織姫

手にはABCCookiesと書かれた袋が下がっている


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