第51章 The DiamondDust Rebellion
第51章
The DiamondDust Rebellion
~my precious existence~
「……っ…………」
冬だというのに、額の、全身の汗が酷い
眉をしかめて、うなされている
「紫苑、紫苑…」
心配になって名前を呼んでも、返事はなく、汗はどんどん流れていく
「な、に言って…」
うなされながら話す言葉はまるで、誰かと話しているようだった
「紫苑っ」
「…………ぃや……」
呼吸が荒くなっていく
ボクは紫苑の体を揺すった
「紫苑!」
「…ぃ…かないで…!」
紫苑はハッと目を見開いて飛び起きた
目が回って焦点が合わない
バランスが分からなくなって、上半身が倒れそうになる紫苑を喜助が支えた
「紫苑、大丈夫?…大分うなされていたけど…」
紫苑はゆっくりと声のしたほうを見る
ぼんやりと人影が見える
呼吸が落ち着いてくると視界がはっきりしてくる
「紫苑?」
「喜助……さん……っ」
紫苑は喜助に抱きつき、声をあげて泣いた
…─
「紫苑はどうしてる?」
「部屋で休ませてます」
あれから毎日、紫苑は夢にうなされて目覚めるようになった
「琴乃サンの夢を、見るらしいっス」
「また懐かしい名前じゃの」
どうしてこうも紫苑は、夢に悩まされることが多いのだろうか
「どうして今頃、琴乃サンの夢を…」
「良くない、夢か…?」
「……ハイ」
充分な睡眠も取れず、仕事もままならなくて、次第に弱っていく紫苑
紫苑の仕事は、ボクが代わりにやっている
元々ボクにやらせる前提で送ってきていたのだろうから、問題はないだろう
乗り越えた…と思っていても、やはりこう毎日苦しい思い出を夢に見ると、辛いはずだ
あの時分からなかった気持ちが、今なら痛いほど分かる
ボクは何度も紫苑の部屋を訪れた
「大丈夫?」
「喜助さん…」
紫苑は何をするでもなく布団に横になっていた