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With me

第50章 そういうのって、どういうの?



説明書とにらめっこして、器具をまじまじと見ていたのに、いざ使ってみて、喜助さんに教えてもらったら思ったより簡単で、拍子抜け


「筋がいいっスね」

「先生がいいからね」

「照れますって」


そのとき店の呼び鈴が鳴り、喜助が向かう


「えぇっと、この液体をこっちに…」


試験管から試験管へ


「そしてこの粉を…」


入れた時だった





研究室のほうから爆発音がした

丁度お客さんを帰したボクは急いで紫苑の元へ駆けつけた


「紫苑!大丈夫?!…ゴホっ」


扉の先は煙が充満していた

すぐに換気を強にし、煙を払うように中に入ると、煤だらけの紫苑が尻餅をついていた


「ったぁ……びっくりしたぁ……」

「紫苑!」


次第に煙が晴れていくと、煤を拭う紫苑の姿が見えた

「喜助さん、ごめんなさい…壊れたものとかあったら…」

「そんなことより怪我してない?大丈夫?」

「えと……多分?」


平気平気、と喜助のチェックをかわそうとすると、喜助の手が紫苑の腕でとまった


「火傷してるじゃないスか!」

「大丈夫だよ、これくらい。痛くないし」

「何言ってんスか!すぐ冷やさないと!」


私を水道に連れていってくれて、流水で火傷を冷やす

その間に喜助さんは氷嚢を作っている


あーこの煤どうしよう…


喜助さんは氷嚢を私の腕にあてながら、ほかにも火傷や怪我がないか探してくれている


「顔じゃなくて良かったっスね…」

「顔に痕残ったらお嫁に行けないもんね」

「紫苑…」


少しだけシュンとなった彼女はきっと、もし顔に火傷していたら本当に嫁に行けなくなると、思ったんだろう


「もし…」

「え?」


握っていた紫苑の手が、ほんの少しだけ震える


「…もし、私が顔に火傷しても、傷とかあっても…喜助さん、私のこと…」

貰ってくれる?


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