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With me

第50章 そういうのって、どういうの?



「なんか猫みたいっスねぇ」

「にゃぁ…」

「…なんスかそれ…かわいすぎるんスけど!もう一回!」

「やだ…もう絶対やんない、恥ずかしい」

「お願い!」


自分で言って後悔した紫苑は、喜助の膝に顔を埋めて目線を合わせないようにした


そのうちまたあの手この手で言わせてみよう

喜助は静かに心の中で誓った


「検査大丈夫でした?」

「うん、卯ノ花隊長も勇音さんもびっくりしてたよ。本当になおってるって」

「それは良かったっス」


喜助さんの膝は、あぐらをかいていることもあってちょっと高くて固い

でもそれよりも、こうして喜助さんとくっついていられることがなにより幸せ


「あ、阿散井くんとルキアちゃんと友達になったよ」

「友達…ねぇ。…阿散井サンに惚れたりしてないでしょうね」

「喜助さんより良い男なんて、居るわけないじゃん」


喜助の顔が固まる

なんだ今日の紫苑は

いつも以上にデレてきて、甘えてきて

疲れがどんどん癒されていく


「そういうこと真面目に言わないでくださいよ」

「あ、喜助さん照れてる」


照れてないっス、と扇子を開き顔を隠す


「あと井上さんとも会ったよ」

「あぁそう言えば、黒崎サンの家で言ってましたね。紫苑に会ったって」

「まさか私が居なかった間に惚れたりしてないよね?」


ちょっと意地悪して、さっきの言葉を返した

そしたら喜助さんはいつだって、私のほしい言葉をくれるの


「紫苑より良い女なんて、居るわけないじゃないっスか」


照れる

確かに照れる

言って欲しいと想像していた言葉だけど、実際言われると物凄く恥ずかしい


紫苑は赤くなった顔を隠すように縮こまった


「照れちゃって、かーわいー」


昼間のモヤモヤが、嘘のように消えていく

喜助さんに癒されていく


「喜助さん…」


ただ、伝えたいと思った

別に今までも、何度も伝えたけど

やっぱり何回でも伝えたい


「なんスか?」

「好き」

「………反則っスよ。そういうの」


喜助は紫苑の頭を膝から下ろすと、立ち上がり紫苑に覆い被さるように視界を遮る

ジリジリと距離を詰めていく


「そういうのって、どういうの?」

「ちょっと黙って」

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