第49章 なんだ、それでいじけてんのか
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ふと彼女を見ると少し、ほんの少しばかり瞼が下がっていた
「なんだそれでいじけてんのか」
「いじけてないし…」
いじけてる
そう思った方が楽なのは分かってるのに、強がってしまう自分がいる
「なんだよ。話くらい聞いてやるぜ」
「………………あのね、私」
「居た居たー!紫苑、アンタ遅いわよー!待ちくたびれたじゃない!」
「乱菊さんっ」
検査が終わったあと、乱菊さんのところに行く約束をしていた
少し時間があるからと思って、先にここに来たら、思ったよりも時間が過ぎていたらしい
「もー二人とも待ってるわよ」
「?二人って?」
「ほらほら行くよ!じゃあね、阿近!紫苑貰っていくわね」
「お、お疲れ」
「阿近ごめんね、また今度」
嵐のように去っていく2人を阿近はポカンと口を開けてみていた
「乱菊さん、2人って?」
乱菊に連れてこられたのは十番隊の談話室
その扉の前で私は乱菊さんに疑問をぶつけた
「アンタに会いたいってのが居てさ~」
と言いながら扉を開けると、そこには2人の死神が居た
「六番隊副隊長の阿散井恋次と、十三番隊の朽木ルキアよ」
「は、初めまして」
赤い髪に特徴的な眉毛、小さくて小柄な女の子
朽木ルキアは、そう…黒崎一護に力を譲渡したっていう…
「う……わ、マジかよ……この人が浦原さんの……」
乱菊から浦原の恋人だと聞いていた恋次は、想像以上の美人の登場にかなり驚いていた
「あ、すまねぇ。俺は阿散井恋次だ。一時期浦原さんところに居候していたこともあるんだ」
「そうなんですか!じゃあ帰ったら喜助さんに話してみますね!」
乱菊は固まるルキアが気になって肩をつつく
「あ、す、すみません…」
驚いた
まるで緋真様の遺影を見たときのように、息を飲んだ
肌は白く、凛とした佇まい
絹の様な美しい髪、はっきりした目鼻立ち
美しいと思った
私とは何もかもが違っていた
だけど一つだけ、たった一つ
何かは分からない
けれど、どこか自分と似ているような感情を持った