第48章 なんだこの可愛い生き物は
「…気づいてたの?」
「そりゃあ紫苑のこと見てますから」
「だから観覧車につれてきてくれたんだね」
正直早くなった心臓がなかなか落ち着かなくて、休憩したかった…
けど、喜助さんとのデートが楽しくて、遊園地を楽しみしたくて、疲れてるのを隠してたつもりなんだけど…
「無理しなくていいのに」
「だって楽しいから…」
「楽しんでくれてなによりっス。けど、体力落ちてるんスから…」
喜助がこっちおいで、と自分の隣をポンポンと叩く
紫苑が素直に従うと、隣に来た紫苑の肩を抱き寄せた
「なんかドキドキしちゃう…」
非日常がこんなにも刺激的だとは思わなかった
もちろん喜助さんとの普段の何気ない普通の毎日は大好きだ
それがなにより大事だと、100年を通して感じた
けれどこんな日もたまには悪くない
「ボクも…」
あぁカッコいい…
顔は整っているし、身長だって高いし、優しいし、包容力があるし、頭は良いし、強いし…
過保護だけど、心配性だけど、束縛が激しいけど(他の人が言うには)、そして絶倫だけど…
とにかく、100年を抜いても6年?7年?近く一緒に居たというのに、100年ぶりに再会したことでまるで付き合いたてのような初々しい気持ちが、たまに沸き上がってくる
「紫苑…」
私の肩を寄せたまま、空いている右手を私の頬に添えて、唇を合わせた
「愛してるよ」
こんなに幸せでいいのだろうか
こんなに素敵な人が本当に私を好きなんだろうか…
「顔赤いっスよ」
「喜助さんがイケメンなのが悪いっ」
「ありゃ、ボクのせいなんスか?」
ペアルックなんてどこのバカっプルだろう
乱菊さんに感謝しなきゃ
「観覧車終わったら海、見に行きましょうね」
「海まで何で行くの?」
「レンタカー借りてるんスよ」
死神には瞬歩という高速移動術がある
ちなみに夜一さんはこの瞬歩の神である
人間は車というもので移動するそうだ
「お店に車無かったっけ?」
「あれは一応仕事用ですし、せっかくのデートっスから、カッコいい車がいいでしょ?」
なんて言うもんだから、お店の大きな車のイメージしかなかった私は、借りた車を見て驚いた