第47章 胸が張り裂けそうだよ
「今日はありがとう。なんかごめんね、私の話ばっかりになっちゃって」
「ううん、付き合ってくれてありがとう」
今度向こうにいったら、ギンのお墓参りにいこう
「夜ご飯どうする?食べてく?」
日がすっかり暮れ、時刻はもう17時半になろうとしている
「あ、えとね私門限18時なんだ」
「え、アンタ門限あるの?」
「うん、遅くなる時は迎えに来てくれるの」
「浦原さんて案外過保護なのね。送るわ」
商店につくと、浦原さんに挨拶すると言って、玄関先に入る乱菊さん
「ただいま」
「紫苑!お帰りなさい!遅いから迎えにいくところだったっスよぉ」
帰るなり視界が真っ暗になった
喜助さんに抱き締められていると理解するのはすぐだった
「こんばんは、浦原さん」
「松本サン、紫苑のこと送っていただいてありがとうございます」
「ちなみにまだ18時前だよ?」
乱菊さんが居るというのに抱き締めた手を緩めないところは、昔からちっとも変わってない
「もう18時っスよぉ…もう心配で心配で…17時にしてもいいっスか?」
「えぇー全く心配性なんだから」
喜助を安心させるように背中をポンポンと叩いた
「ふふ、仲良しね。それじゃあ私はこれで」
「あ、ありがとう乱菊さん」
「ウチの門使います?」
漸く紫苑を解放した喜助
「…ちょっと歩きたいんで」
乱菊は喜助に少しだけ近づき、小さな声で言った
「紫苑とっても良い子ですね。大切に、してあげてくださいね」
「…?はい、モチロン…」
2人に何かあったのか、乱菊の後ろ姿が見えなくなるまで喜助は気になって仕方がなかった
「乱菊さんなんて?」
「んー?紫苑が良い子だねって」
「そ、そうかなぁ」
靴を脱ぎながら洗面所に向かおうとした紫苑の腕を、喜助が掴んだ
「うわっ」
転びそうになる紫苑を、喜助がさっと受け止める
「紫苑、泣きました?」
「へ?」
泣いたっていっても、少しなのに
ほんと、この人には敵わない
私より私に詳しいんじゃないかって、時々思う