第47章 胸が張り裂けそうだよ
「このお店良さそうじゃない?」
今まで着物ばかり着てきた私にとって、現世の服は凄くキラキラしていて、凄くワクワクした
「紫苑は胸大きいから、胸元開けたらきっと浦原さんも喜ぶわよぉ」
「え、乱菊さんのほうが大きいかと…」
「大きすぎるのも考えもんよ~?」
あれこれと紫苑にたくさんの服を合わせていく乱菊
「これ可愛い…」
「じゃそれにしましょ!自分が可愛いと思ったもの着るのが一番よ!次は靴かなぁ…」
一通り買い物を終えた2人は、ランチもやっているカフェでお昼にすることにした
「でさー、浦原さんとはいつから付き合ってるわけ?」
「んーと…107年くらい前?」
指を折って数えるこの子、可愛いわねぇ…
温かいミルクテイーに砂糖を溶かす
「てことはそのとき浦原さんは、隊長だったのよね?十二番隊の」
「そう。まだ霊術院生だった私を、喜助さんが十二番隊に誘ってくれたの」
乱菊はストレートティーを一口含むと、ポーションミルクを入れ始めた
「へぇ~その時から紫苑のこと好きだったんじゃないの~?」
「ら、乱菊さんは…彼氏とか好きな人居ないの?」
ミルクを混ぜ終えた乱菊はスプーンを持った手をそのまま止めて、寂しげな表情を見せた
「ねぇ紫苑。ギンって知ってる?市丸ギン」
「え、ギン?…てあの銀髪の…?」
懐かしい名前だった
確か平子隊長の隊で…会うなり彼女になってとか言われたっけ
その後全然絡みに来なくなって、時々見かける姿は毎回違う女性を追いかけていたから、きっと移り気だったんだろうな
そういえば…
「そう、そのギン。その頃だとまだ子供か。護廷に入った頃かな」
過去の記憶が甦る
"…好きとか、大切とかじゃ足りないんよ。それ以上、あの子はボクの全てなんや"
「ギンと知り合い…?」
"金髪で髪ふわふわの子や"
「…幼なじみだったの」
乱菊の瞳の奥が、揺れているように見えた
「だったって…今ギンは…?」
「そっか、紫苑最近まで眠っていたから、知らなくても無理ないわよね」
そして、ギンが命を落としたことを聞いた
「そんな…ギンが…」
「でも、最期…看取れたから、良かったかな…」