第47章 胸が張り裂けそうだよ
「…ということなんで、お願いしますよォ」
「なんで俺やねん」
喜助は仮面のアジトに来て、目的の人物に手を合わせていた
「アタシの知り合いの中で平子サンが一番センス良さそうっスもん」
「めんどいのぉ~」
平子はほとんど空になった缶コーヒーの最後の一滴を飲むべく、天井を見上げて缶を振っていた
「可愛い紫苑の為や、行ってやりぃ真子」
「はァ?紫苑の為やのうて、喜助の為やんけ」
「カッコいい浦原さん見て、女性ホルモン分泌されて紫苑が益々綺麗になるやん」
「なんやねんその理由」
紫苑の女性ホルモンが更に分泌されて、あれ以上綺麗になられたらどうにかなっちゃいそうっスね
「平子サン、お昼奢りますからぁ」
「よっしゃ」
現金な人はこれだから扱いやすい
喜助と平子は街中へと姿を消した
…─
「ところで何処にデートに行くの?」
アパレルのお店が建ち並ぶエリアへと足を進めていると、乱菊さんから質問された
「えっと、ゆーえんちです!」
「遊園地かぁ。そしたらスカートとかじゃないほうがいいわねぇ」
「そうなんですか?」
「うん、色々乗り物に乗るかもしれないし、スカートだと下着見えちゃうわよ?それにたくさん歩くだろうから、ヒールもやめたほうがいいわね」
紫苑は乱菊の言ったことをメモに書き留める
「本当はワンピースとか着せたら紫苑はすっごい可愛いと思うけど、それはまた今度買いましょうね」
「そのときまた付き合ってくださいね!」
「ところでアンタ、いつまで私に敬語使うつもり?」
「へ?」
いつまで、と言われても私はただの四席で、彼女は副隊長…
敬語を使うのは当然のはず
「だって100年も眠っていたとはいえ、紫苑のほうがずーっと先輩なんでしょ?」
「そう…ですけど」
「はい、じゃあ敬語は禁止ね」
「は、はい……や、うん」
いくつになってもこの瞬間は慣れない
以前にもこんなことがあったような、なかったような…