第46章 隊長やあらへんで
その平子の呟きに、喜助はそれ以上言うな、と釘を刺すように目線を細めた
「平子隊長、あの」
ひよ里にしがみつかれながらも、目線を平子に向けると、せやから隊長やないってと聞こえてきそうな顔をしていた
「お墓参り、いってくれたんですよね?琴乃の…」
「まァな…100年もほったらかしにしてしもうたから、アイツ怒ってるんちゃうかと思って…」
「きっと喜んでますよ」
俺の話はえーから
と照れたようにハンチングを深くかぶる平子
「紫苑は喜助ンところに住むんか?」
「でも復隊したんやろ?そしたら向こうやないの?」
漸く紫苑を解放したひよ里と、リサと適当なところに座り込んだ
「復隊して、今十二番隊の四席をまたやってます。でも現世調査任務という仕事を貰ったので、こっちで喜助さんのところに住みますよ」
「やっぱり喜助ンところかぁ。ここに来たらエエのに」
「遊びにきますね!ひよ里さんも遊びにきてください!」
「…喜助の居らん時ならエエで」
「ちょ、酷くないスか?」
その日は積もる話をたくさんして、日が暮れるまでアジトで話をした
気心の知れた友人たちとの会話は、私の100年の空白を少しずつ埋めてくれた
「じゃあまた来ます」
「喜助と喧嘩したら何時でも来ぃやー」
「余計な御世話っスよ」
「またねー紫苑ちん」
紫苑が居なくなったアジトは、どんよりしたため息が充満していた
「アイツも帰ってくればエエのになァ…」
平子のその呟きを聞いていたのは、彼の斬魄刀だけだった
…─
帰り道を喜助さんと手を繋いで歩く
まだまだ話したいことがたくさんあった
寂しかった
「これからいつでも会えるから、ね」
「うん。喜助さん、連れてきてくれてありがとう」
「いーえ」
寂しそうな顔
紫苑のそんな顔を見たくなくて、話題を変えた
「そうだ、今度お出かけしましょうか」
「え、ほんと?!行きたい」
「何処がいいっスかねぇ。水族館、動物園、遊園地…紫苑と行きたいところいっぱいあるんスよ」
「海!海に行きたい!」
そうっスね
本物の海、見たいっスよね