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With me

第7章 もっと早く助けてあげたかった



いつもの琴乃なら、しつこいくらい聞いてくる

そんな琴乃がこんなにもあっさり帰るのは、きっとさっきの沙也加さんの言っていたことを気にしているから…

琴乃には言えない…

元々なかった写真のことなら…知らないほうがきっと良い

部屋に1人になり、机に広げたバラバラになった写真を見ると、また涙が込み上げてくる

袖で涙を拭きながら、丁寧に写真を貼り合わせる

このことで泣くのはこれが最後…

切り替えないと…明日から、いつも通りちゃんと






…─







次の日─


「紫苑、おはよー」

「琴乃、おはよ」


琴乃はいつも通り話しかけてくれた

私もそれにいつも通り答える

琴乃に隠し事なんてしたことなかった

なんでも聞いてくれて、なんでも話してくれて

そんな琴乃に、私は…


「じゃあ私こっちだから…」


あんなに心に決めたのに、やっぱりいつも通りにするなんてなかなか難しくて…琴乃の前から立ち去った

隊長も察しがいい人なのか、私が困っているのを見て何も聞かずにいてくれた

せっかく写真を増やしてもらったのに、申し訳なさすぎる…

2、3日たてば何事もなかったかのように話している私たちがいた

あぁこれでよかったんだ

あの写真は元からなかった…

私もそう思うことにした


その日紫苑は書類配りを任された

十番隊、六番隊に配り終わり、残すは五番隊だった


「失礼します、書類を届けに参りました。平子隊長はいらっしゃいますか?」

「あぁ、隊長なら隊首室にいるよ」


すぐに気づいてくれた藍染副隊長が、隊首室へ案内してくれる


「失礼します」

「おー紫苑か、お疲れさん」

「お疲れ様です、平子隊長」


隊長に書類を渡す


「なァ、そろそろウチに来る気になったか?」

「すみません、それは」

「そないハッキリ言わんでもええやんけー」


ちぇーと平子は唇を尖らせる


「喜助のどこがええんや」

「浦原隊長は優しいですよ?」

「俺も優しいんやけどなぁ、特に紫苑にはな」

「ご縁があればぜひ」


紫苑はニコっと笑って隊首室を後にした


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