第7章 もっと早く助けてあげたかった
「あ、お疲れ様です、浦原隊長。琴乃も」
「紫苑、おつかれーどこ行ってたの?」
「ん、ちょっと立ち話しちゃって」
私、割りと上手く笑顔作れてるよね
普段通り…ちゃんと会話できてる?
「誰と話してたのー?」
「あ、えっと……」
そこまで考えていなかった紫苑は返事に困っていた
怪しまれる、早く答えなきゃ…
焦りが汗となって額から落ちる
「私よ」
リン─と綺麗な音がなる
3人が一斉に振り返る
「ね、紫苑ちゃん」
「あ、はい…」
突然のことだったが紫苑は沙也加に話を合わせる
「沙也加サンだったんスね」
「話し込んじゃって、ちょっと遅くなっちゃったわね。私が送っていくから行きましょ」
沙也加さんは隊長に挨拶をして、私と琴乃を連れて執務室をでた
「あの、沙也加サン…どうして…」
「ん…なんか困ってそうだったから…」
「え、沙也加さんと話してたってのは嘘だったの?」
何も知らない琴乃の質問に紫苑は自分の過ちに気付いた
「それは…」
「紫苑ちゃん、言いたくないことは言わなくてもいいんだよ」
「え?」
「人に言いたくないことのひとつやふたつ、誰にでもあるでしょ」
その沙也加の言葉に琴乃は少し気まずくなった
「でもね、何か困ったことがあったらいつでも相談してね。私は紫苑ちゃんの味方だから」
「ありがとう…ございます」
紫苑の自室につき、沙也加も自分の自室へと戻った
「紫苑…隊長から聞いたんだけど、写真ってなんのこと?」
紫苑の胸がドクンとなった
琴乃に写真のことは言わないつもりだったから
なんのことって聞いてくるってことは、どんな写真かは聞いてないんだよね?
紫苑は琴乃に背を向けたまま、返事ができずにいた
「ごめん……言いたくなったら話して…おやすみ」
「おやすみ…」