第45章 一緒に行こう
「卍解を知られたって必ず勝てるくらい強くなればいい…けど、そんな自信全然無くて…備えても備えても不安で…」
紫苑は自然と喜助の背中をさすっていた
「だけど…だけど、隊長の座を追われたって、紫苑だけは、失いたくなかったのに…っ」
誰が見たって、100年前の喜助さんは隊長に相応しい実力があったのに
ちゃんと、みんなを守る力があったのに
こんなにいつも、不安だったんだ
唇を噛み締める喜助の手を、紫苑は優しく握った
「気づいてあげられなくてごめんね」
喜助は首を横にふる
「紫苑を守りたかった…でもこんな弱いボクを知られたくなかった…だから、今まで言えずにいたんス」
「話してくれて、ありがとう」
喜助の手を両手で握りなおす
「これからまた、私を守ってくれますか?」
「紫苑…」
「喜助さんは私を守って」
驚いた顔をした喜助はすぐにふにゃっと力が抜けたような顔になった
「そして私にも、喜助さんを守らせて…ね?」
喜助の大きな手が、紫苑の頬を両手で包む
「紫苑…愛してる。今までもこれからも、永遠に愛してる…」
あの時と同じ言葉
喜助さんとなら、本当に永遠になる
「私も、愛してる…」
重なる唇から、愛が溢れてくる
喜助さんの背中に回す腕に力が入る
この人しかいない
永遠に一緒に居る
「ところで埋め込んだのが、その能力を持続させるやつ?」
「そっスよ」
「なんか、まだ実感湧かないや…」
「すぐにわかりますよ」
そして喜助は結界を解いて、穿界門を開いた
「一緒に行こう」
100年ぶりに、通る穿界門
100年前、死にかけた現世へ
100年前、愛しい人が旅立った現世へ
今度は、一緒に