第44章 何泣いてるの
「紫苑っ」
「あ、お疲れ様です。檜佐木副隊長」
みるみるうちに赤くなる修兵の顔を見て、乱菊は彼女が先程の会話の中心人物だと確信する
「ねぇねぇ!アンタが十二番隊の女神?」
「そっスよ!」
「初めまして。えっと、松本副隊長ですよね」
「噂通り本当にかーわいーわね!!乱菊でいいわよ!」
乱菊は紫苑を抱き締めると、頬擦りをした
よ、夜一さんみたいなナイスバディ…
「紫苑!俺も、修兵でいいぜ!」
「それよりウチに何か用事?あ、隊長はそっちよ」
乱菊が冬獅郎のほうを指し示すと、それまで固まっていた冬獅郎がハッと動き出した
「…十番隊隊長の日番谷だ」
「初めまして。西園寺紫苑です。よろしくお願いいたします」
紫苑がにっこり笑いかけると、冬獅郎は目をそらし、その頬は僅かに赤くなっていた
「隊長もしかして惚れちゃいました?」
「え、日番谷隊長マジですか?!」
日番谷の耳元で囁く乱菊の言葉に、冬獅郎は更に顔を赤くする
「う、うるせぇ!それより、何か用事があったんじゃねぇのか?」
そこで紫苑は手に持っていた書類の一部を日番谷に見せた
「涅隊長からこの案件の調査資料を貰ってくるように言われまして…少し前に十番隊が調査をしていたはずだから、と」
「あ、あぁすぐ準備する」
日番谷は一度部屋をでて資料室に向かった
「こんな可愛い子が十二番隊に居たなんてねー。ねぇ、修兵をフッたって本当?」
「ちょ、乱菊さん!」
「えっと、フッたわけではないんですけど、私…」
そこに資料を持った日番谷が戻ってくる
「これでいいか?」
紫苑は渡された資料に軽く目を通す
「はい!ありがとうございます!」
「紫苑、退院まだだろ?働いて大丈夫なのか?」
「これ現世で使う資料なので。それくらいは自分でやらないと、と思って」