第43章 色々ありがとう
「じゃあ退院したら紫苑ちゃんはまた、浦原くんと暮らせるんだねぇ」
「それも浦原くんが涅隊長に頭下げたって噂だよ」
「いやぁ、愛だねぇ」
顔を赤くして照れる紫苑を、喜助はにこやかに微笑みながら見ている
「それじゃあ私、外出許可終わっちゃうのでこの辺で失礼しますね」
「時々ボク等のとこにも遊びに来てね、紫苑ちゃん」
「無理はするなよ」
七緒と清音は軽く頭を下げた
4人と別れ、紫苑と喜助は四番隊舎へ歩き始めた
「喜助さん、色々ありがとう…」
「どしたんスか?急に」
「ん…ちょっと言いたくなっただけ」
本当は手を繋ぎたかったけど、荷物を持ってくれているからそれが出来ない代わりに、喜助さんの袖を掴んだ
「それ、可愛いんスけど…」
紫苑が隣に居て、笑っている
ただそれだけで、ボクは幸せだ
100年失って、痛感した
この子がどれだけ大きかったか
この子がどれだけ大切か
その手を、心の中で握った
…─
四番隊─
部屋につくなり喜助は現世に戻った
丁度昼食を持った勇音が入ってくる
「紫苑さーん、時間ギリギリですよ」
「ごめんごめん。京楽隊長と浮竹隊長と久しぶりに会ったから話し込んじゃって」
久しぶり…ねぇ
久しぶりもなにも、100年ぶりですもんね…
勇音は紫苑を大目に見ることにした
「それより勇音さん!私、妹が居るなんて聞いてないんだけど!」
「…あれ?言ってませんでしたっけ?」
「聞いてない。さっき清音さんに会ったの」
昼食をコトンと置く
「すみません。知ってるとばっかり…」
「まぁいいけどさ…」
ちょっと不満そうに箸に手を伸ばした紫苑は、思い出したように勇音を見た
「ねぇ、明日も外出したいんだけど…」
「え、連続ですか…?」
「難しいかな…?」
うーんとうなる勇音
訴えの瞳で見つめる紫苑
「誰か着いてくれる人います?浦原さんとか。私はちょっと無理なんですけど…」
「うん、喜助さんと行くつもり」
「分かりました。でも、今回も午前中だけですよ。それから絶対激しい動きはしないでくださいね」