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With me

第6章 初恋の人に似てる



もう一度夜一を見ると、早くせんかと言わんばかりに顎で催促される

喜助は静かに紫苑の傍にいき、優しく抱き締める

左手は背中をさすり、右手は小さく震える頭をポンポンと優しく叩く

一瞬驚いた紫苑は、喜助の胸に顔を埋めた

時々肩を上下させながら泣く紫苑がとても小さく見えた


ひとしきり泣き、落ち着きを取り戻した紫苑は、急に今の状況が恥ずかしくなってきた


「す、すみません…胸お借りしちゃって…」

「ん、もうちょっとこのままでも良かったっスよ?」

「喜助、下心が丸見えじゃぞ」


紫苑が急に夜一に向き返る


「あの夜一さん」

「ん?」

「この写真、もう一枚あったりしませんか?」


その言葉に喜助はピンときた



あぁそっか、そこには琴乃サンのご両親も…



「残念じゃが、我が家にあったのはその一枚だけじゃ」

「そうですか…」


シュンとする紫苑を見て、夜一は喜助を見た


「喜助に頼めば良い」

「え?どういうことですか?」


紫苑は夜一を見たあと、喜助の顔を見る

喜助はニッコリと笑っている

紫苑はさっぱりわからなかった


「その写真を増やすことなぞ、喜助にとっては朝飯前じゃろ」


紫苑の喜助を見つめる目が少し輝いた


「のぅ、技術開発局局長殿?」

「当たり前じゃないスか」

「あ、ありがとうございます!浦原隊長!」


紫苑は喜助の両手を自身の両手で包み、尊敬と感謝の眼差しで微笑んだ

喜助の心は分かりやすくドキっと鳴った




…─



二番隊を後にした2人は帰り道を歩いていた


「その写真、もう一枚は琴乃サンに渡すんでしょう?」

「はい、夜一さんに感謝しなきゃですね」

「琴乃サン、きっと喜びますよ」


2人はその足で技術開発局へと向かった





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