第40章 さようなら
状況は最悪だった
「今から彼等八人全員をこの状態のまま十二番隊舎へ運びます。隊舎の設備があれば、彼等の命は救えましょう!」
虚化した八人…
その犯人…
目を瞑ってしまいたくなるような現場だった
「この状態のまま……!?そんな……どうやって……」
「"時間停止"と"空間転位"を使います」
「……何だって?」
名前は知っているものの、実際に目の前にするのは初めてだった
「どちらも禁術!故に今より暫しの間、耳と眼をお塞ぎ願いたい!」
それはあっという間だった
次の時にはもうそこは十二番隊だった
「"虚化"というのは……ボクが死神の魂魄の強化を研究する上で到達した"解"の一つです……」
外套の帽子を外し、一つの物質を取り出した
「その過程でボクは虚と死神の境界を、瞬時に破壊、創造する物質を作りました……これで平子サン達を治療します」
物質に被せておいた布を取り去る
「名を"崩玉"」
…─
気がついたら外が明るくなっていた
どうやら眠ってしまっていたらしい
目を開けたボクは八人の姿を見て愕然とした
「スイマセン、鉄裁サン。失敗っス」
そのままボクはふらつく足で紫苑の元に向かった
「1人にしてごめん…」
未だ意識が戻らないのは、白伏のせいだけではないだろう…
意識はないはずなのに、紫苑の頬を涙が伝ったあとが残っている
「少し、表の空気吸ってきます」
鉄裁サンに言い残し、外へ出る扉を開けた
太陽の眩しさが目にしみる
ガンッ!!
「十二番隊隊長 浦原喜助様!鬼道衆総帥 大鬼道長 握菱鉄裁様!中央四十六室より強制捕縛令状が出されております!」
六尺棒が喜助の動きを封じる
「な……!?」
表の声が聞こえていた鉄裁も、その言葉に耳を疑った
「御同行願います」
…─
中央四十六室─
「判決を言い渡ぁす!」
賢者の声が、堂内に響き渡る
「大鬼道長 握菱鉄裁 禁術行使の罪により第三地下監獄"衆合"に投獄!」
鉄裁はその判決を冷静に、落ち着いて聞いていた