第40章 さようなら
「十二番隊隊長 浦原喜助 禁忌事象研究及び行使、儕輩欺瞞重致傷の罪により霊力全剥奪の上、現世に永久追放とする!」
現世に永久追放……
現世………紫苑……っ…
「尚、邪悪なる実験の犠牲者となった哀れなる五番隊隊長以下八名の隊長格は"虚"として厳正に処理される」
「ちょっと待ってください!そん……」
バンッ!!
その時喜助の後ろから勢いよく扉を開く音がした
「何者だ!審議中の議事堂入室の許可など誰が与えた!?立ち去れ下種めが!!」
そこに立っていたのは顔を巻布で隠した夜一だった
「捕えろ!!賊だ!」
「誰かおらぬか!」
「誰か……」
夜一は警備の者たちを倒し、喜助と鉄裁を助け出した
…─
双極の地下─
「……あ……ありがとっス、夜一サン」
まさかあの状況から抜け出せるとは思わなかった
「礼なんぞいらん」
夜一は顔を隠していた布を取り去る
「昨夜何故儂に一声かけんかったかと、蹴り飛ばすのも後にしておいてやる」
喜助が目線を下げるとそこには虚化した八人が運ばれていた
「……八人は全員此処へ運んでおいた。おぬしが研究中じゃった"新しい義骸"の試作品ものぅ」
そこには喜助の必要とするものが揃っていた
「さっさとやってしまえ。今回の事件の話を最初に平子に聞いた瞬間から、おぬしが考えておった最悪の顛末と、それに対する最善の策を」
「……何もかもお見通しっスね。いやらしい人だ」
「おぬしが言うか」
喜助は鉄裁に向き直る
「……鉄裁サン、平子サンたちに時間停止をかけてください。そしてそのままこの場所に二、三層の結界を」
時間がない
でも、やらなければならない
彼等を救うために
「今から20時間でボク達二人と平子サン達八人、計十体の霊圧遮断型義骸を作ります」
「……夜一殿は……」
「儂のことは気にするな。どうとでも逃げ果せるわ」
「現世に身を潜め、時間をかけて解き明かします。必ず。この"虚化"を解除する方法を─」
喜助は覚悟を決めた
現世に行く覚悟を…
鉄裁が時間停止をかけ、結界を張る準備をはじめる
喜助は義骸に手をかけ始めた
そんな中夜一は1人、難しい顔をしていた
「喜助…」
「何スか…」