第40章 さようなら
「そうだ。ひよ里サン、ちょっと付いてきてもらえません?あと涅サンも」
「嫌やぁ、朝から白玉の顔見たないでー」
「私だってこんな猿女の顔に興味はないヨ」
「どこ行くんや?」
「買い出しっスよ。手伝ってください」
カランコロン─と独特な下駄の音が響き渡る
「お。おーす。おはようさん」
副官の藍染を連れて建物の間から出てきたのは、数時間前に別れたばかりの平子だった
「あ、おはよっス。平子サン」
夜勤明けだというのに、平子サンもなかなかタフっスね
「おはようさん。マユリ」
「余所余所しく涅と呼べと言っているだろう。不愉快な男だネ……!」
「めんどいやっちゃなァ」
喜助の視線を感じた平子は目を合わせた
聞かれることは容易に予測がつく
「紫苑ならまだ寝とる。ウチの女の隊員つけとるから安心せぇ」
「ありがとっス。起きるまで寝かせといてください」
まァ、エェけど…
「そういや、聞いたかオマエ。あの話」
「どの話っスか?」
平子か答えようとしたとき、ズドンっ!!と膝に強烈なケリが入る
「痛ぁ!!」
足をさすりながら、犯人のほうを振り向く
「何やねんひよ里!いきなり!?」
「ウチへの挨拶がまだやっ!!!」
「なんでオマエにアイサツせなあかんねん!!」
「あかんに決まってるやろ、流れ的に!!一人にだけアイサツせえへんてどういうことや」
「ええんですー!俺は隊長オマエは副隊長。隊長のすることにイチイチ口出さんといてん……あ痛たたたたたたたぁっ!!」
二人のやり取りをやれやれといった感じで眺める喜助
そこに藍染が寄ってくる
「西園寺くん、寝不足ですか?それか具合でも?」
「ちょっと寝不足で。スミマセン、五番隊にお邪魔しちゃって」
「いえ、構いませんよ。東雲くんもよくウチでお昼寝してましたから」
やっぱりサボってたんスね、琴乃サン
今更咎めてもしょうがないっスけど
「そうだ浦原隊長。もう耳にされましたか?」
「何をっスか?」
「流魂街での変死事件についてです」
「それや俺が言いたかったんは!ナイスフォロー惣右介!!」
「変死事件?」
聞きなれない言葉に喜助はヨレヨレの平子を見下ろす