第40章 さようなら
「せやなァ」
紫苑が起きないように静かに笑いあった
「で、紫苑どうするんや?」
「ここで寝かしといてもらえますか?」
「俺エライ信用されてるんやなぁ」
「今更紫苑に手を出そうなんて、琴乃サンが知ったらどうなることやら」
「喜助は?帰るんか?」
喜助は返事をせずにソファに横になり始めた
「おい、まさか…」
「おやすみっス」
こちとらこれでも夜勤中やっちゅーねん…
………しゃーないなァ…
紫苑を安心させる方法…
離れないと、ずっと傍にいる、と…永遠を誓う
6年の記念日に、と思ってたけど少し早いけど渡してしまおうか
それで紫苑が少しでも安心できるなら…
…─
翌朝─
紫苑は今までの分を取り戻すかのように深い眠りに落ちていた
ボクは早朝、まだ辺りが暗いうちに目を覚ました
「エライ早いな」
「平子サン、ずっと起きてたんスか」
薄暗い部屋の、机の上の照明だけをつけた部屋
確か夜ここに来たときは部屋全体の灯りがついていたはず
「一応夜勤中やからな」
きっと気を使ってくれたんだろう
喜助は立ち上がり紫苑に近づくと、夜と変わらず眠っていることに安心して頬をそっと撫でた
「ボク、そろそろ仕事にいきますね」
「紫苑まだ寝かしとくやろ?」
「お願いできますか?」
「今度昼メシ奢れや」
喜助はクスクスと笑って、考えておきます。と返事をして五番隊を出た
十二番隊─
「喜助ェ、紫苑は?」
眠そうな目をこすりながらひよ里サンが奥から出てくる
「今五番隊で眠ってます。スミマセン、今日は休ませてあげてください」
「あ?ハゲのとこやん。なんでまた…………まァエェわ」
ふあーぁとあくびをしながら、ウチも少し寝るわと仮眠室の扉を開けた
陽が昇り始め、多くの隊員たちが仕事を始める
数時間の後、仮眠室からまた大きなあくびをしたひよ里がでてくる
「ふぁ……で、紫苑なんやったっけ……」
「あぁ、ちょっと色々あって寝不足で、五番隊で寝かせてもらってます」
そんな話やったなァと、ひよ里は思い出しながら湯呑みにお茶を汲みはじめる