第39章 だって好きなんだもん
「続きは帰ってからね」
耳元で囁くとまた顔を赤らめて向こうを向いてしまった
しばらく黙っていたかと思うと
「喜助さん、膝かして」
紫苑はボクの膝に頭を乗せて、目を閉じた
「今日は甘えん坊ですね」
たまにはこんな風に思う存分甘えさせてあげるのも、いいかもしれない
もちろん普段から甘やかしている自負はあるけれども、彼女が甘えてくれてるかといえば多分答えは否だ
隊に復帰してから琴乃サンの分まで頑張らないとって、ずっと気を張っていたし…
「寝ちゃうんスか?」
彼女からの返事はなかった
かわりに静かな寝息が聞こえてきた
紫苑の髪を撫でながら、葉桜を見つめる
「誰にも渡さないっス…」
ボクだけの紫苑…
…─
「え、結婚?」
目を見開き、驚きを隠せない紫苑の前にいたのは、いつの日か大掃除で五番隊に居た時に紫苑に告白してきた彼だった
「そうなんです。西園寺さんには迷惑かけたから、報告というか…」
彼の隣には大人っぽい彼女が、少し顔を赤らめて並んでいる
「あの時、私たち別れ話してて…」
すみませんでした
なんて、2人揃って頭を下げるもんだから
「え、い、いいですよそんな!顔をあげて」
2人は申し訳なさそうに顔をあげる
「おめでとう、幸せになってくださいね」
「西園寺さんはいつ浦原隊長と結婚するんですか?」
「け、結婚……!」
2人は私の反応にニヤニヤしながら帰っていった
最近は護廷隊の結婚ラッシュなのか幸せそうな報告をたくさん聞く
「結婚かぁ…」
結婚に憧れがないわけではない
…浦原紫苑……
ボンっ!と顔から火が出るように赤くなるのを自分でも感じる