第38章 今度は失わないように
研究に没頭していて時間を忘れていたが午後3時をまわった頃だろうか…
夜一サンはともかく、紫苑は未だ目を覚まさない…
さすがに心配になってきた…
紫苑に近づき様子を見ていると、クッと紫苑の眉間に力が入る
「紫苑!」
名前を呼んだ彼女はゆっくりと目を開けた
「あれ、私…」
「卍解を使ったあと倒れちゃったんスよ」
「そっか…思い出した」
体を起こすのを、手伝うと急に頭を押さえ始める
「……ッー…」
「大丈夫?」
「頭ガンガンする…」
これも力の代償だろうか
ボクは水を汲んできて紫苑に手渡す
「ありがとう…あれ、夜一さん?」
「紫苑のこと心配して来てくれたんスよ」
「起きたらお礼言わなきゃね」
水を一口飲む紫苑
「私どれくらい寝てた?」
「丸1日ってとこっスかね」
「そんなに?」
思ったよりも長く眠っていたことに驚き、卍解のことを思い出していた
「もっと鍛練しろってことだよね」
「ここからっスよ」
その後、日を開けて同じように卍解の技を使う
すると同じように丸1日強制的な睡眠に入る
「雪姫サンの力は大きすぎるみたいっスね」
「卍解時だけでも、紫苑様の霊圧を抑えることができれば良いのですけれど…私はこれ以上力を抑えられませんし…」
「…霊圧を抑えられるモノ…作りましょうか?」
「作れますの?」
喜助は雪姫にニコっと笑いかけた
「紫苑様の卍解時の霊圧を抑えることで、威力は落ちますが扱えるようになると思いますわ」
「なるほど…確かに。そのほうが紫苑に合ってそうっスね」
1回放つ度に強制睡眠に入っていたら紫苑の体が持たないし、仕事にも差し支えるだろう
喜助は以前紫苑に贈った勿忘草のネックレスを預かって、霊圧制御装置にするための改造を始めた
…─
「紫苑、これ」
双極の地下に紫苑、喜助、夜一の姿があった
「なんにも変わった感じしないけど…」
紫苑は喜助から、霊圧制御装置にしたと勿忘草のネックレスを受け取った
「つけてあげるね」