第38章 今度は失わないように
周囲が落ち着いた頃には、紫苑の技によって大きなクレーターができていて、結界を張った4人以外の場所は焼け焦げたような匂い、岩も砕かれ、更地となっていた
「なんという威力じゃ…」
「これ、結界がなかったらヤバかったっスね…」
夜一と喜助は土煙が晴れ行く中に紫苑を探す
と、その瞬間消えた結界に一握りの疑問をもった
「紫苑!」
土煙の中に立っている紫苑を見つけたと同時に、喜助は走った
紫苑は膝をカクンと曲げ、倒れる寸前だった
それを受け止めるのに間に合った喜助は、紫苑の斬魄刀が元の刀の形に戻っていくのを見た
「大分力は抑えたのですが…大丈夫ですわ。眠っているだけですの」
紫苑の卍解が解けて、半分消えかかっている雪姫が喜助に声かける
「喜助様、紫苑様をお願いしますわ」
「はい…」
そう言って雪姫の姿は見えなくなった
腕の中には静かに寝息をたてる紫苑
「大きな力を使って、強制的な睡眠に入ったようじゃの…」
「温泉も壊れちゃいましたね」
「なに、また作ればよい」
2人は気づかなかったが、地下空間の一番端に作られた紫苑のための"海"だけは無事だった
喜助は紫苑を連れて、夜一と別れ、部屋に戻った
…─
「凄い地震やったな」
休憩時間のひよ里が、同じく休憩で遊びに来ていたリサに話しかける
「地震というより、地割れみたいやったなァ」
それが紫苑の卍解だとは夢にも思わなかった
…─
喜助は紫苑を布団に寝かせてから、お茶を飲み一人考え事をしていた
雪姫サンは、あれで大分抑えた…と言っていた
それであの威力…
もしそれが本当だとしたら、紫苑が力を使いこなせるようになったら