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With me

第38章 今度は失わないように



「美しいの…」

「ほんとっスね」

「なんですの、せっかくいい夢を見れそうでしたのに」


タイミングが悪かったみたい、機嫌が悪い


「ごめんね雪姫、私具象化できないからこの霊具で強制的に具象化させちゃったの」


雪姫は転神体にチラッと目を配るとすぐに紫苑に向き直った


「具象化ならできますわよ?」

「え?」


その声を出したのは紫苑だけではなかった


「え、どういうこと?」

「どういうこともなにも、私が出てこようとしなかっただけですわ」

「な、なんで出てきてくれなかったの?」

「んー気分ですわ」


その答えに喜助と夜一は苦笑いを浮かべる


『なかなかクセのある奴じゃの…』

『紫苑と正反対っスね…』


「気分って…」

「だってこちらの世界には美しいものがないんですもの」


私にはない強気で思ったことをハッキリ言う…私からしたら羨ましい性格…


「ところで…」

「え?」


雪姫が喜助の目の前にきて顔を覗き込む


「あの、ボクに何か…?」

「雪姫?」


紫苑もその行動に疑問を感じた


「早く紅姫お姉様に会わせてくださいませ」


そうだ、確か霊術院時代に喜助さんとこの話をした

斬魄刀が姉妹で、雪姫が姉に会いたがっていたと……


「あ、そっスよね。分かりました。おいで、紅姫」


喜助がそう言うと、雪姫の時と同じように辺りが一瞬紅い光に包まれる

目を開けた喜助の隣には、紅姫がいた


「雪!」

「お姉様!会いたかったですわ!」


さっきまでのクールな印象と打って変わって、満面の笑みで紅姫に抱きつく


「会えてよかったね」

「2人とも嬉しそうっスね」

「紅姫に会いたかったのなら、さっさと具象化して出てくればよかったのにのぅ」

「確かに…」


その声が聞こえたのか雪姫が凄い勢いで近づいてきて、夜一に顔を近づけた


「私が紅姫お姉様に会いたくても出てこなかったのは、単に喜助様を信用していなかったからですわ!」


雪姫は夜一に顔を寄せつつも、喜助にギロリと睨むような視線を送る


「ありゃ、ボクのせいなんスかね」

「じゃあ今は信用しているのね?雪姫」

「そ、その変な道具で呼び出されたからですわ!」

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