第5章 気になる人って…
数日後、紫苑はいつも通り書類整理などの任務をこなしていた
「西園寺さん、隊長が呼んでいますよ」
「え、隊長が?」
隊長に呼び出されるなんて初めてだ
何かやらかしてしまったのだろうか
きっと怒られるんだろうな…と神妙な面持ちで隊首室へと向かう
「お呼びでしょうか?」
「紫苑サン、すみません呼びつけちゃって」
「あの、私何かしてしまいましたか?」
え?と喜助は紫苑の顔を凝視する
「違いますよ~ちょっと会わせたい人がいるので一緒に来てもらえませんか?」
「?はい、わかりました」
会わせたい人?
平隊員の私に会わせたい人って、一体…
浦原隊長と目的地まで歩き始める
「あの、ところでドコまで?」
「二番隊っス」
「え?二番隊?」
二番隊といえば以前浦原隊長が在籍していた隊
隠密機動ということもあって、あまりいいイメージはなかった、というよりちょっと怖くもあった
「大丈夫、ボクが居るから怖くないっスよ」
「え、私怖いなんて…」
「ちょっと遠いけど大丈夫っスか?」
十二番隊から二番隊へは多くの隊を越えなければならない
でも、普段見れない隊を、もちろん端からだけど見れて少し新鮮で楽しい
そして六番隊を過ぎようとしたとき
「紫苑サン、ちょっと回り道しましょうか?」
「え?回り道?」
「はい、ここはちょっと危険…」
「なァに、紫苑サンとデートみたいで楽しいーみたいな腑抜けた面しとんねん」
喜助の顔はゲッと効果音が聞こえてきそうな程歪んでた
「なんやその顔、気色悪いで」
「お疲れ様です!平子隊長!」
「おー紫苑!会いたかったでー!」
そう言って平子は紫苑に抱きつこうとする
「なんやねん喜助、紫苑との感動の再会邪魔すんなや」
「何が感動の再会っスか。ウチの隊員にちょっかい出さないでもらえます?」
「ええやん、俺は紫苑に惚れたんや」
「なっ!?」
紫苑の顔が真っ赤になる
それをみて喜助は気が気ではない
「え、紫苑サン照れてる?」
「だって平子隊長が…」
「悔しかったら喜助も言うてみぃ」
「ッ─紫苑サン!いきますよ!」