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With me

第5章 気になる人って…



喜助は紫苑の手首を掴むと、紫苑を連れ歩きだした

浦原隊長はこっちを向かずどんどん前に進んでいく


「あの…浦原隊長…痛いです」


ハッと喜助は我に戻ったかのように紫苑に振り向く


「す、すみません!ボク、なんてことを…」

「私こそ…気分悪くされたならすみません」

「紫苑サンは何も悪くないですよ」

「でも…」


喜助は自分のせいで赤くなった紫苑の手首をさする


「ボクのせいで‥…ごめんね」


凄く申し訳なさそうな顔で謝るから、そんな人を怒るなんてできない…

もちろん、怒るつもりは全然ないんだけど


「大丈夫ですよ!これくらい」

「本当にごめん…」

「気にしないでください」


その時ふわっと暖かいものに包まれた

浦原隊長に抱き締められているのに気付いたのはそのすぐ後だった


「た、隊長っ」

「紫苑サンは、平子サンが好きなんですか?」

「え?あの…」

「気になる人って、平子サン…?」


紫苑は急いで否定した


「ちっ、違います!」


てっきり平子が気になっているんだと思い込んでいた喜助は、ホっと胸をなでおろした


「よかった…」


え?よかった?

よかった…って、それ…もしかして…


なんて自惚れる自分に赤面した


「さ、行きましょ。もうすぐ着きますよ」


なんだかさっきよりも意識してしまう…

返事が全部上の空…

ちゃんと受け答えできているだろうか…

そんなことを考えているうちに二番隊についた


隊舎内に入るとピリッとした空気が肌を刺す

装束からして刑軍だろうか…

構わず歩く喜助さん

古巣だから当たり前か…

紫苑は無意識に喜助の袖を掴んでいた


可愛いんスけど…紫苑サン…


その手を握りたい衝動を必死に抑えて、喜助はポーカーフェイスで目的の部屋に向かった

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