第37章 雨が、やんだ気がした
「白もいるよー!」
「辛なったら、ウチらのことも頼りや?」
「白は無理だろ」
「なによー!拳西のぶあーか!」
「俺らだって頼ってくれていいんだぜ」
愛川隊長…
「まぁ僕らに頼ったら喜助が気を悪くしちゃうかもしれないけどね」
「…そんなことないっスよ」
「今間があったよな」
「あったね」
みんなの言葉が心にズキズキと響いてくる
私の心の穴を、少しずつ埋めていく
「みんな…こんな私のために…みんなだって辛いのに…ありがとう」
「みんな紫苑のこと大好きなんやで」
気付いたら涙がボロボロこぼれていて、喜助さんが優しく肩を抱いてくれていた
帰り道、みんなと別れて喜助さんと2人で歩く道
「ちょっとは元気でた?」
「うん、なんか少し軽くなった」
いつまでも落ち込んでいられない…
いつまでも心配かけてられない
「もうちょっと」
「え?」
「もうちょっとだけ、時間を頂戴…」
「もちろんっスよ」
…─
「喜助」
「夜一サン」
今日は仕事が少なく、珍しく休憩をとることができた
久しぶりに縁側に出ていると夜一がシュッと隣に現れた
「今紫苑のところへ行ってきたところじゃ」
「元気でした?」
「まだ、飯が余り食えないみたいじゃの」
何度も点滴をしている姿を見る
こればっかりはそれに頼り切りになってしまう
「前よりは食べるようになったんスけどね」
「夜は眠れてるのか?」
「ん、ボクが居る時はね」
「なら、お主が居ないときは…」
と、そこに袋を抱えた平子がやってきた
「邪魔すんで」
夜一は元々忙しい合間をぬって紫苑に会いに行ってくれていたから、平子の登場と入れ替りでその場を後にした
「なんか、久しぶりっスね」
夏祭りにも来なかったから、会うのは隊首会以来だろうか
隊首会でも終わると早々に隊舎に帰り、話しかけづらくはあった
「お裾分けや」
中には袋いっぱいの乾し柿
なんでも市丸サンが好きなんだとか
喜助は紫苑のためにと、干し柿を3つ避けた