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With me

第36章 私にもっと、力があったら…



え、なに?

なんでそんな辛そうな顔してるの?


「琴乃サンは…………っ」


そのとき紫苑の部屋の扉が勢いよく開いた


「平子サン…」


紫苑に近づいてくる平子は殺気に近いものを放っている


「平子隊長…琴乃はどこですか?怪我…大したことないと良いけど…」


何も知らなかった

違う

何も分からなかった

覚えていなかった

自分が何をしたか

琴乃がどうなったか


私のその言葉が、平子隊長の逆鱗に触れた


「なんでや!なんで琴乃を刺した!!」

「平子サン!!」


喜助を払いのけるように、紫苑の胸ぐらを掴みあげる


「答えろやっ!!俺の納得する答えを、言うてみぃ!!」


平子隊長の目は、まるでそれだけで誰かを殺せるんじゃないかってくらい怒りに満ちていた


「平子サン…違うんスよ、落ち着いて」

「黙っとれ喜助!」

「刺した……?」

「そうやお前が琴乃を刺したんや!この目で見た!お前が琴乃を殺したんや!!!」


紫苑の脳に数時間前の出来事がフラッシュバックする



"私を殺して!"


"お願い…………紫苑"


"最後が……紫苑で良かった……"


"ありがとう……紫苑、だい……す……き"



紫苑の顔が青ざめていく


「私がっ…琴乃を…っ」

「紫苑!」


平子から奪い返すように喜助が紫苑を抱き締める


「大丈夫…大丈夫だから…」

「琴乃を返せやっ!!」

「い…やあぁぁぁぁあ!!!!」


そのまま紫苑は再び気を失って、喜助の腕の中でくったりと力が抜けた


「平子隊長!浦原隊長!琴乃さんの体が!」


呼びに来た勇音に続いて平子は部屋を飛び出す

喜助も紫苑を寝かせ、平子に続く


琴乃が居た部屋に入ると、平子は目を見開いた


「琴乃は……どこや?!」


それに怯えながら四番隊の隊士が答える

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