第36章 私にもっと、力があったら…
爪に触れた途端、強い障気に指先が焦げる
それをきっかけになったかならないか、爪がどんどん小さくなって、琴乃の体に溶けだした…
「嘘…」
瞬間、琴乃は激しく咳き込み再び大量の血を吐く
「琴乃……!」
「ぅああっ……っ……あぁぁあ!」
真っ白な顔に容赦なく豪雨が叩きつける
毒が全身にまわったのか顔を歪める琴乃
「琴乃……?」
しばらく動かない琴乃…
どうしたのか、その体に手を伸ばした時
グサッ……─
「え……?」
琴乃の斬魄刀が、私の体を貫いていた
「なん……で」
琴乃はゆっくりと立ち上がり、私から刀を抜く
「ぅあっ……!」
返り血が琴乃にかかる
それを鬱陶しそうに袖で拭う
「感謝スルゾ、小娘」
その言葉に耳を疑った
「あなた、まさかっ」
「儂ハナ、自分ノ分身ガ生キテイレバ、イクラデモ其処カラ復活スルコトガ出来ルノダ!」
さっき琴乃の背中に刺さってた爪…
あれはこいつの分身…
「元々此奴ダケヲ喰ラウ予定ダッタガ、オ前モ旨ソウダ」
「私を、食べるつもり?」
「ソウダ!オ前ヲ喰ロウテ、此奴ヲユックリト内側カラ喰イ尽クスノダ!」
琴乃の体で向かってくる虚を私は斬魄刀で受け止めた
どうすれば……
どうすれば琴乃を引き離せる?
「考エテモ無駄ダ!モウ此奴トノ融合ガ始マッテイルノダカラナ!!」
「融合……?」
「ソウダ、儂ハ死神ト融合して内側カラ霊力ヲ喰ライ尽クスノダ」
言葉は虚でも体はNAME4…
私は琴乃を傷つけないように、攻撃を受け流すしかできなかった
「儂ヲ切レルカ?切レナイダロウ!?クククっ!」
「ぅああっ!!」
斬撃が私の体を傷つける
「ハァ……ハァ」
琴乃を切る?
そんなことできるわけない…
でも、あんな奴に喰わせてやるなんて、もっと嫌だ…
何か…何か方法が
その時虚が苦しみ始めた
「キ、貴様!マダ抵抗スルチカラガアッタカ!!」
ダンっ!!