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With me

第36章 私にもっと、力があったら…



そういえばと、紫苑は琴乃を責めるのをやめる


「とにかく!この虚たち片付けるよ!」

「こいつら、多分親玉の虚から生み出されてるの…増え続けてる」


紫苑は座り込む琴乃の代わりに、手当たり次第に虚から生み出された小さな生物を倒していく


「花氷」


紫苑がそう言って刀を振るうと、目の前の敵が凍りつく


「じゃあ、親玉を探さないとキリがないね!」


紫苑の言葉にハッとした琴乃は、座りながらも周囲を見渡し親玉を探す


「桜花」


桜の花弁が刃となり、凍りついた敵を攻撃する


「零れ梅」


無数の梅が雨のように降り注ぎ、ひとつひとつが敵を巻き込んで攻撃する


「紫苑、あいつ…」


琴乃が指差す方には周りの敵よりも少し大きく、禍々しい空気を出している虚がいた


「ずっと動いていないの」

「他の分身を盾にしてるのね。あいつ自身は多分、そんなに強くない」


紫苑が虚に近づくと途端に分身たちが盾になるように立ちふさがる


「琴乃、動ける?」

「モチロン」


私1人じゃちょっと難しい…

琴乃の力を借りないと


琴乃は全身を奮い立たせて立ち上がる


「縛道の二十一 赤煙遁」


紫苑の放った縛道は煙幕を発生させ、盾になっている生物の視界を奪う


「縛道の六十二 百歩欄干」


実に百もの光の棒が、煙幕を突っ切り敵の動きを封じる


「さすが…っ、鬼道が上手ね」

「最後は頼んだからね」


紫苑は刀に手を添える


「紅の蕾 列列椿」


椿の花が敵を包みこみ、蕾の形になった

次に蕾が開いたときには、中の敵は既に原型を留めてなかった

そして、親玉の虚の姿が顕になった


「白月」


瞬歩で虚の前に移動した琴乃は、自身の斬魄刀の放った眩しい白い光に包まれた

思わず紫苑は目を閉じる


眩しさを感じなくなった頃、ゆっくり目を開けると虚は居なくなっていた


「ひぇー危なかったね」

「危なかったじゃないよ!私が来なかったらどうなってたか…」

「あはは、闐嵐みえたの?」

「え、見えなかったけど…私なんか嫌な予感がして、様子見に来たの」

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