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With me

第36章 私にもっと、力があったら…



紫苑の心を現すように、雨はどんどん強くなっていって、このあたりにも雷の光が近づいてきた


「珍しいっスね」

「琴乃、大丈夫かな…」

「琴乃サンは強いっスよ」

「うん、そうだよね…」


目的の場所についた琴乃は唖然とした


「虚は1体のはずじゃ…!?」


目の前には小さいがざっと10体の虚が目に入る

琴乃は伝令神機を取り出し、援軍要請を送る


"十二番隊東雲琴乃 援軍要請"


「もう!なんでこんなときに!」


伝令神機は相変わらず調子が悪く、琴乃は何度も送信を押すが、エラーコードが表示される


「私1人でこんな数…」


目の前にはおよそ10体の虚

心なしか増えている気もする


「やるしかない…よね!」


天挺空羅を使う時間は無い…

壊れている伝令神機の代わりに空に向かって鬼道を放った


「破道の五十八 闐嵐!!」


虚を攻撃すると共に竜巻を発生させ、異変を知らせる

お願い、誰か気づいて…

大分遠くまで来てしまったから、届かない可能性は充分にあった


「闇夜に輝け 月虹!」


雨で水分を吸って重くなる死覇装

滑る地面

嫌でも耳をつんざく雷の轟音


倒しても倒してもキリがない

やっぱり増えてる…

こいつら、多分虚から生み出されている分身…


動きづらい条件下に、琴乃の体力は削られ、動きも判断力も鈍くなっていた


「ぅあっ……!」


気を抜いた瞬間背後をとられ、背中に大きな傷を負ってしまう

咄嗟に木の陰に身を潜める


「ハァ……ハァ……痛いっての……」


背中の痛みに耐えながら作戦を練る

その時脇から出てきた虚の分身と目があった

琴乃の心臓がドクンと波打った


殺される─


敵が飛びかかってくる

琴乃は咄嗟に目を瞑った


「惑わせ 雪姫」


いつまでも痛みがやってこない

それどころか敵の断末魔が聞こえる


「紫苑?」


そっか、届いたんだ…


「遅いよ…紫苑」

「バカっ、なんでもっと早く呼ばなかったの?!」

「だって…伝令神機動かないんだもん…」

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