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With me

第34章 お仕置きっス



2日間の試薬実験は問題なく終わり、3日間の試薬に行った時には季節はもう雪が降る頃だった


「わ、綺麗…」

「これ全部温泉宿らしいっスよ」


私にみせたいからと、連れてきてもらったのは温泉街だった

両脇に背の高い木造の建物がズラッと並んでいて、それを別つように川が流れている

そして、ところどころにそれらを繋ぐ橋がかけられている

橙色の柔らかい照明が、積もる雪が幻想的な雰囲気を醸し出す


「ここ、紫苑に見せたかったんス」

「綺麗…喜助さんが居なかったら、こんな素敵な景色も見れなかったかもしれないね…ありがとう」


溢れそうになる涙を拭うと、夜と雪での寒さが身にしみてブルッと肩を震わせる


「寒いでしょ、ほら」


自身の上の羽織の半分を私の肩に掛けて、抱き寄せてくれる


「ありがとう」


そう言って見上げたところに、喜助さんの唇が触れた


「愛してる」

「私も愛してる」


もう一度口付けを交わすと、2人は温泉街のうちの1つの宿へと向かった



3日を過ぎて、4日目に入ったところで紫苑は小さな咳をし始めた


「紫苑、尸魂界に戻ろう」

「そ、だね……ケホ」


もしかしたらずっと現世にいられるんじゃないかとさえ思っていた

でも4日目にして喉元に違和感を感じたときから、その思いは消え去った


喘息なんて、消えちゃえばいいのに…


何度そう思ったことか


尸魂界に戻った私たちは、その足で四番隊を訪れた


「あら、お疲れ様でした。西園寺さん、浦原隊長」

「卯ノ花隊長」


卯ノ花隊長を探して四番隊を歩いていると、すぐに目的の人を見つけ、隊首室に通された


「やはり3日が限界でしたか」

「はい、もちろんまだ研究は続けますが」

「でも素晴らしい進歩ですね」


卯ノ花は1人浮かない表情をしている紫苑が気になって声をかけた


「西園寺さん?」

「紫苑、どうかした?」


紫苑は喜助を遠慮がちに見つめる


「何か言いたいことあるの?」

「あの…」

「はい」

「任務で現世に行ってもいいですか?」


その質問に2人とも少し驚きはしたが、すぐに優しい顔になった


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