第34章 お仕置きっス
「ほんと?」
目をキラキラさせながら自分を見つめてくる紫苑が可愛くて仕方ない
「うん、どうせなら現世で選ぼうか」
「…いつ頃行けそう?」
「来週なら都合つけれますよ」
思っていたよりも早い予定に、紫苑の心は静かに踊り出した
「楽しみにしてるね、喜助さんっ」
「ボクも」
…─
「ひよ里、浦原さん居る?」
「なんやリサか、珍しいな」
十二番隊には珍しいお客が来ていた
「喜助なら居らんで。非番とって紫苑と現世デートや」
「なんやそのラブラブな理由。てか紫苑現世行けないんやなかった?」
「紫苑の薬試しに行っとるんや」
薬…
「あー、喘息の?」
「せや、喜助になんか用か?」
「アタシの眼鏡、調子悪いから、ちょっと見てもらおう思て」
リサは眼鏡を外しながらあちこち眺める
「眼鏡って、いつも銀蜻蛉に持ってってるやん」
「その銀蜻蛉が今臨時休業しとるんよ。浦原さんそういうん得意そうやん?」
「まァ、明日には帰ってくるで」
そうかァと言いながら、再び眼鏡をかけ直すリサ
「ひよ里さーん、これ資料…あ、リサさん、お疲れ様です」
「お疲れさん、琴乃。真子とは上手くやってるん?」
「え、なっ……いや、その……」
顔を赤くしてしどろもどろになる琴乃を見て、リサは怪しい笑みを浮かべる
「初々しなぁ。どこまでいってるん?」
「きゃー!!」
「リサ、あんまし苛めんといてや」
一切悪びれた様子もなく謝ったリサは、また明日来るわと言って、自隊に戻っていった
「紫苑は研究バカ、琴乃はハゲやし…どこがエェかさっぱり分からへんわ」
「カッコいいじゃないですかっ」
「…琴乃やっぱし頭打ってんのとちゃう?」
その時ミシっと床板を踏む音に2人は反応する
「…急にデレるなやっ」
「し、真子っ!」
「噂をすればやな…」
空気を読んだひよ里は瞬歩でその場を後にする
「べ、別にデレてないもん!ていうか真子がいるの知らなかったし!」
「デレてたやん」
ニィと口角をあげる平子の顔もちゃっかりカッコいいな、と心の中で思う琴乃