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With me

第34章 お仕置きっス



「……怒ってる?」


ドンッ

恐る恐る聞いた次の瞬間、紫苑の背中は壁に張り付いていた


「きすけ……さん?」


片手を壁について距離を詰めてくる

身長差で途轍もない威圧感と圧迫感


なのにちょっとときめいてる自分がいる…


「紫苑は誰のモノなんスか?」


喜助さんの瞳がまっすぐ私を射抜く

動けない…はずなのに、心臓がドキドキしてる


「き、すけさんの…です」


頬に吐息がかかったと思ったら、生暖かい舌が這う


「ちょ……ここ外……」

「消毒……」


ギンにキスされたところ…

喜助さん、妬いてくれたんだ


「何笑ってるんスか?」


唇を尖らせて、拗ねたような、怒ったような顔をする喜助さんがかわいくてたまらない


「妬いてくれて嬉しいなぁって」

「…大人げないっスよね」


ちょっとシュンとした喜助さんはそのまま縁側に腰をかけ、隣をポンポンと叩いた


その通りに隣に座ると、ゴロンと喜助さんの頭が膝の上に転がる


「お仕置きっス」

「…膝枕がお仕置き?」


膝に頭を預けるなり目を瞑り、寝る気満々だ


「…あんな子供に、ほっぺたとはいえキスなんかされて、隙だらけなんスよ」


むくれたように言う喜助さんが、やっぱりかわいくて思わず心の中でクスリとしてしまう


「子供とはいえ男なんスから、もっと警戒心もってくださいよ」


心なしかウトウトしている気がする


「紫苑はボクの……モノ……なんスか……ら」


そう言い残して寝息をたて始めた


自然と笑みがこぼれた紫苑は喜助の柔らかい髪を撫でる

時々頬をかすめるそよ風が心地よい

こんな日もたまにはいいかも


柱に体を預けると、紫苑もウトウトと意識が朦朧としてくる

寝ちゃおっかな…


「私は喜助さんのモノだよ…」


そう呟いて、額にキスをした




…─




「ところで髪おろしてるの珍しいっスね」

「あ、うん無くしちゃって」

「へぇ…」


そう言いながらまじまじと紫苑の髪を見つめる


「買ってあげる」

「え?」

「新しいやつ」


紫苑が身につけるもの、必要とするもの、全部全部ボクがあげたい

そう言ったら紫苑はどんな反応するかな…


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