第34章 お仕置きっス
(おい、この霊圧ヤバくねーかっ)
(巻き込まれないうちに逃げようぜ)
ドス黒い負の霊圧がどんどん強さを増して紫苑たちに近づく
「人の彼女に何してんスか?糞ガキが」
「き、喜助さん…」
めちゃめちゃ怒ってる…
喜助さん珍しく口が悪い…
すると喜助さんはギンの首根っこを掴んで持ち上げた
「イタズラ好きのガキんちょにはお仕置きしないとっスねぇ」
そのまま技局に向かおうとするから、一体何をされちゃうのか想像しただけで怖かった
「ちょ、待ってや!助けてぇや紫苑ちゃーん」
助け船を出そうとした矢先、執務室の扉がバンッと開かれた
「こんなところに居ったんかギン」
「隊長はんエェところに、ボクこの隊長はんに殺されてまう~」
チッ
「平子サン、ちゃんとこの糞ガキ見ててくださいよ」
あれ今舌打ちしなかった?
少々乱暴に平子にギンを渡した喜助
「あァ?ギンお前なんかやらかしたんか」
「何もしてませんて~紫苑ちゃん可愛いかったからちゅーしただけですー」
「おまっ、何しとんねん!喜助に殺されるで!」
「あれ?十二番隊長はんが、紫苑ちゃんの彼氏さんなん?」
「そうやで、怒らしたら命無いで」
「残念やわぁ、でも大きなったらボクと付き合うてやー」
平子がアホ!と言う前に喜助の霊圧がピンポイントでギンに向けられる
「お、お邪魔しましたァー」
危険を察知して平子はギンを抱えて逃げるように去っていった
「さて……と」
落ち着いたと思った喜助は、再び怪しい笑みを浮かべてもう一人の子供にジリジリと近づいた
「誰の女ですって?」
まさか聞かれていると思ってなかった阿近は額から汗を垂らしながら漸く絞り出した声で答える
「きょ、局長のです…」
「分かってるならいいんスよ」
ニーッコリ笑った喜助さんは阿近から離れて執務室の外に向かう
「おいで、紫苑」
「は、はい」
背中が怒ってる……怖い……
絶対怒られる
(西園寺さん大丈夫かな)
(あんなに怒る隊長珍しい…)
喜助さんに続いて執務室を出る
縁側に続く廊下を無言で歩く
「あ、の……喜助さん」
耐えきれずに絞り出した言葉にも返事はない